最新鋭12式ミサイル発射の瞬間
自衛隊も今回で6回目の参加となり、約1500人の陸海空自衛隊員が派遣された。このミサイル実射訓練に参加したのは、湯布院駐屯地に司令部を構える第2特科団隷下の、今や日本の最前線となった石垣島や宮古島にも展開する第7地対艦ミサイル連隊。不肖・宮嶋とは旧知の部隊である。
射撃前日にアルバトロス豪海軍航空基地で開催された訓練開始式には、日豪両軍将兵170名が参加する中、当時の第2特科団長伊藤久史陸将補と豪海軍艦隊航空司令官マシュー・ロイヤルズ准将が訓示を述べた。
その後「一発必中」を誓い、伊藤団長が檄を飛ばす下、第7地対艦ミサイル連隊長井藤庸平1佐率いる連隊員がこぶしを上げ応えたのであった。実に心強い。
かくして、7月22日、所変わってビークロフト豪海軍射撃場、いまだ闇に包まれた夜明け前から、射撃準備に走り回る連隊員は小銃抱えたままの完全武装。
まるで闇夜が見えるかのようにてきぱきと、射撃準備が整っていく。また今回は豪軍との目標情報共有や、初となる陸上自衛隊のNEWS(ネットワーク電子戦システム)が2機稼働した電子戦環境下。つまり、豪軍と協調した敵への妨害電波照射下と思われる状況下での、訓練弾ではない炸薬を装填した実弾での射撃となり、いやがおうにも緊張感丸出しである。
そして、ここ豪州では正確な距離は明らかにされなかったものの、数十キロ離れた標的船まで、上空を豪海軍の数機のSH-60「シー・ホーク」ヘリが警戒するなか、炸薬を装填したまま、実弾を2発同時着弾等、より実戦に近い形で行われた。
現地時間0654時より、伊藤団長、井藤連隊長、さらに陸上総隊司令官小林弘樹陸将も駆けつけ見守る中、3発のミサイルを轟音と閃光、白煙を上げながら発射。夜も明け切らぬうち、朝焼けの澄み切ったオーストラリアの燃える大空を切り裂くように大型ミサイルが飛び去り、途中ロケット・ブースターが煙と炎を上げながら分離落下する瞬間もはっきり見てとれたものの、あっという間に視界から消え去った。
その数分後、2発のミサイルが同一標的船に異なった軌道で同時直撃、標的船は紅蓮の炎に包まれた直後砕け散った。さらに3発目も目標に命中した。その瞬間、標的船を曳航していた豪軍艇から撮影していたライブ映像を指揮所で見つめていた伊藤、小林両猛将があげた歓声が、我々の撮影ポイントまで漏れてきた程の驚きであった。
我らの高い血税で調達したミサイルがちゃんと目標に命中し、まずは一安心……とはとても言えぬ。ウクライナやイスラエル同様、周囲を敵国に囲まれた我が国にとってもミサイルの数と質の向上は急務であろう。我が国が保有するミサイルの数は明らかにされていないが、それよりも中朝露が現在我が国を照準している核弾頭の数のほうが多いのは明らかであろう。
撮影=宮嶋茂樹
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