師弟タッグマッチでは思わぬ本音も…

――平日開催のときは高校にはいかない、卒業できなかった奨励会員も珍しくなかったでしょうが、土日に変更されてから進学率は上がっていますね。

 ところで、ABEMAの企画により師弟タッグマッチ、地域対抗戦で弟子と一緒にチームを組んでいました。弟子と一緒に戦うのは珍しいですが、どうでしたか。

杉本 お互いがお互いの将棋を控室で見ているわけじゃないですか。自分が負けて戻るのは嫌でしたよ。

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 藤井くんに感想を聞いたら、的確なことをいってくれました。今年の地域対抗戦で永瀬(拓矢)さんに負けたとき、私が「指し手に勢いがない」とぼやいたんです。そしたら「逆じゃないでしょうか。もっとおとなしくやったほうがよかった」と指摘されました。

 うん、確かにおっしゃる通り。でも、そんな大事なことは対局前にいってくれないとね(笑)。

 

深浦 うちは辛辣です。あとでABEMAの放送を見たら「ちょっと(師匠の将棋は)荒すぎる」とか結構なことをいっていましたよ(笑)。確かにそうだけど、しょうがないですよね。超早指しのフィッシャールールなんだから。

杉本 まあまあ、ちょっと演出っぽいものもあるでしょうし。

前泊して練習将棋

深浦 杉本さんと藤井さんのタッグとは、師弟トーナメントのスピンオフ企画で、私と佐々木大地と対決したことがありますよね。

佐々木大地七段 ©︎文藝春秋

杉本 とりあえず自分が負けたのは覚えています(笑)。公式戦とはまた違うので、前日の過ごし方も違いますよね。

 泊まるホテルが藤井くんと同じだったから、練習将棋を指そうと誘ったんですよ。夜8時から2時間弱ぐらいかな。しょうもない話ですけど「どういうモーションだと時計を早く押して時間を節約できるか」なんてことも研究したんですよ。

 例えば指すときの動作、手つきの角度ですね。藤井くんもなんかいってたけど、大したことじゃなかったし、あんまりそこに意識はなさそうでした(笑)。