祖父の8ミリカメラと出会い、映画を作り始める

和哉 それで8ミリとの初遭遇なんですけど。

千昭 小学生の時に、毎年夏休みに我々だけ長崎県の五島列島の母方の祖父母の家に行ってて。そこで祖父が持っていたシングル8のカメラを触らせてもらっていたわけですよ。

和哉 「あ、8ミリカメラがある」って見つけて、「これで映画が作れる」とひと夏かけて撮影した。

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千昭 そうそう。それがおそらく私が小学校5年で、和哉が4年。『死因不明事件』という題名で。その時は編集をするという概念がなかったから、最初のカットから全部順番に撮った。

和哉 失敗したらカットできると知らなかったから、絶対に失敗しないように緊張しながら撮っていた。最後の方で間違えてあなたにメチャクチャ怒られた記憶がある。

千昭 で、撮ったのに、現像に出したら何も映ってませんでしたって。

和哉 というか、カメラ屋で「これは現像しても何も映っていないよ」と突っ返された。フィルムにスタートマークが出てたから。フィルムの入れ方を間違えてずっと空回しになっていた。

千昭 そうなんだ。

和哉 フィルムが1本3分20秒しか回せないことも知らないから、何の疑問も持たずに延々と回していた。

小中千昭氏 撮影:藍河兼一

千昭 それは幻の第一作になって、次の夏休みに五島に行った時に8ミリカメラを持って帰って、『インベーダー』を作り始めた。

和哉 猿の惑星マスクを買ってね。

千昭 『少年ジャンプ』とかの後ろに広告が載っていたんだけど、小川ゴムというラテックスマスクを通販で売っている会社があって、そこでゴリラのマスクを買った。

和哉 スキーウェアを着てそれをかぶって、宇宙人にして。僕が演じた少年が宇宙船に拉致される話。

千昭 ストーリーはちょっと覚えてないんだけど、最後に飛行機が墜落するんだよ。

和哉 そう。宇宙人が飛行機を墜落させて船にぶつけてみせるわけですよ。それを見た宇宙人が、「今、なんか光ったあれは何だ」とか言い出す。その惑星では爆発とか燃えるという現象はないらしいの。それに気づいた少年がポケットに入っていた100円ライターに火をつけて宇宙人に向けると、「ウワ~ッ」と燃え上がって終わるっていう、ものすごく安易な話。

千昭 でも、ちゃんとオチがあったんだ。

和哉 オチはあった。

千昭 私が小学校6年の時に始めたけど、完成したのは中2になってたから。