和哉 クライマックスの特撮シーンが大変だった。紙粘土で作った海の上に、さんふらわあ号(カーフェリー船)のプラモデルを置いて、そこに釣り糸で吊った飛行機が突っ込んでいくという。

千昭 そうそう。当然火薬なんか持ってないから、マッチの頭を集めて火を点けて。

和哉 『インベーダー』のパンフレットがあったんですよ。(と取り出す)

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「インベーダー」パンフレット表紙
「インベーダー」パンフレット本文

千昭 パンフレット(笑)。

和哉 スタッフ表があって、監督、製作、編集、録音、選曲、撮影、小中千昭。で、製作、記録、主演、助監が僕と書いてある。で、監督の言葉も出てる。

千昭 やめて(笑)。

和哉 この写真は結構大人っぽい。トレンチコート着て。

千昭 恥ずかしい。だから、中2なんだよ。

初めての上映は教会のクリスマス祝会

和哉 これを上映した時のことは覚えてます?

千昭 上映したっけ?

和哉 教会の日曜学校のクリスマス祝会で。

千昭 それは2作目の『天地創造』だよ。

和哉 『天地創造』は併映として作った。

千昭 ああ、そういうことか。

和哉 さすがに教会で『インベーダー』だけ上映するわけにはいかないから、宗教映画を即席で作って、2本立てで上映した。

千昭 ひどいな(笑)。ただ、『天地創造』の時からコマ撮りっぽいことを始めたよね。

和哉 そう。人間が土から作られるシーンは砂を使ったりとか、アダムとイブは切り紙アニメーションでやったり。

千昭 『インベーダー』ではアニメーションはやってないので。

和哉 振り返ると、映画の作り方も知らないのに、なぜ8ミリカメラがあるから映画が作れると思い込んだんだろう?

千昭 それは『小型映画』という8ミリの雑誌が当時あったからですよ。小学校高学年の時にはもう。「アニメと特撮」(注1)という別冊があって。

和哉 そういうのである程度の知識があったから、遊びの延長で撮り始めたのか。

千昭 遊びだったのかね。小学校の時は将来こういう仕事をしていきたいという願望というよりは、勝手にそうなるものだと。

和哉 思ってた?

千昭 うん、思ってた。だから、決意とかそういうのはしたことがないんですよ。

和哉 当然なるだろう、くらいに思っていた?

千昭 そうそう。何の根拠もないけど。