成蹊高校映画研究部に所属し8ミリ映画製作に勤しんだ小中和哉監督。高校3年時には、ミュージカル『いつでも夢を』で富士8ミリコンテストでグランプリを受賞した。そして進学した立教大学では、人生を変える新たな出会いが待っていた。（全4回の3回目／4回目に続く）
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立教大学に進み、特撮大作『地球に落ちてきたくま』を撮る
明子 富士8ミリコンテストで受賞して、映画の道に進もうと思ったんですか？
和哉 いや、高校3年で大学をどうするかという時も、映画の学校を選ぶことにはためらいがあった。手塚さんは日芸に進んだけど、僕には手塚さんのような才能があるとは思えなかったから。松田先生という高校の担任に面談でそういう話をしたら、「でもお前、賞を取ったじゃないか」と言われて、「10回ぐらい撮り直しをして、技術的に少し大変なカットを撮ったことが評価されたのであって、才能があるというのとは違うんですよ」と話したら、「それだけしつこく撮り直すのはお前の才能じゃないのか」と言ってくれた。これはいまだによく覚えている言葉で。でも結局日芸は受けなかった。
明子 それで立教に行ったら、蓮實（重彦）先生がいらして、活発に活動する映画サークルもあったんですね。
和哉 立教でSPP、セント・ポールズ・プロダクションというサークルに入ったら、もうOBだったけど、黒沢（清）さんがよく学校に来ていて、同期も先輩もみんな本気で映画を撮ろうとしていて、それでますます8ミリ映画を本気でやった。
明子 その中で『地球に落ちてきたくま』（1982）を製作します。なぜまたくまの映画を？
和哉 実写でくまちゃん映画の決定版を作ろうとしてね。何をお手本にしたかというと、前半は『パンダコパンダ』（1972）。くま型の宇宙人が学校に来ちゃって、てんやわんやする部分。で、後半はそのくまが悪い宇宙人に狙われて、最後は宇宙船バトルみたいな特撮になるんだけど、それは『スター・ウォーズ』。好きな映画をお手本にやれることをやってみた。
