――塩だけスープも、それ以外のスープも、優しい味わいなのにきりっと味が決まって、体に馴染んで癒されます。
西岡 そう言っていただくと、しんどい思いをしてよかったって思います。しんどい思いをしたから、そこに共感できるレシピをつくれるという強みはありますし、そういう方たちに(私のレシピが)届いたらすごく、私自身も救われるというか。
体を癒せるところに魅力を感じる料理の仕事
――「また飛びたいと思わない」くらいお料理の世界に注力されている理由はなんでしょう。
西岡 客室乗務員のときは、第一に保安要員、その次にみなさんの思い出をつくるという、かたちのないものを目標にしていました。一方で料理は、かたちのあるものなんですよね。サラダやスープというかたちになって、味になって、食べてくださる人がいて、体を癒せるところがすごく面白いなと。
――料理研究家というお仕事は、昔から認識されていましたか。
西岡 あんまり意識にとめたことはないですが、小学生のときに母が持っていた料理の本を読んだり、自分でお料理の本っていうノートをつくって、ガトーショコラの作り方とか、書き写していたんです。気まぐれなので、3ページで終わっていますけれども。「手作りかんたんそして…うまーい」って、いまから思うと、レシピ本のサブタイトルみたいですね(笑)。
にしおか・まお/1987年生まれ。東京都出身。野菜の料理家。学習院大学日本語日本文学科卒業後、全日本空輸(ANA)の客室乗務員として、約4年間、国内線・国際線に乗務する。不規則な生活リズムと食生活が続くなか、休日に料理教室に通いはじめ、食べものが心と体に直接与える影響を実感。料理の道へ進むことを決意する。退職後、料理研究家の井上絵美氏に師事し、エコールエミーズ・プロフェッショナルコースでディプロマを取得。中医学の世界にも興味を持ち、北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)にて中医薬膳師の資格を取得した。「心と体を整える料理」をモットーに、テレビ、Web、雑誌、広告などで、「なんとなくしんどい」にやさしく寄り添う手軽で健やかなレシピを紹介している。近著に『手間も、材料も必要最小限。なのに驚くほどおいしい! 塩だけスープ』(KADOKAWA)、『体を癒やす夏スープ』(主婦と生活社)がある。現在、オンラインサロンの開設準備中。

