「元気なときは、なにを食べてもおいしくて、幸せなんですけど……」。客室乗務員から料理家に転身して、今年で10年。ちょうど客室乗務員としての将来を考え始めた頃に、元フジテレビアナウンサーの西岡孝洋さんと結婚したという料理研究家の西岡麻央さん(38)。「しんどいときこそ手づくりのものを体に入れてあげるほうが絶対いい」を信条に、頑張っている人たちにエールを送るように心身を癒すレシピを披露し続ける西岡さんの “おいしい”の原点とは。(全2回の2回目/前編を読む

西岡麻央さん ©︎榎本麻美/文藝春秋

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25歳での結婚を機に、客室乗務員から料理家に転身

――ずばりなぜ、客室乗務員から料理家に転身されたのでしょう。

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西岡麻央さん(以下、西岡) そうですねえ、客室乗務員としての将来を考え始めた頃に、ちょうど結婚をしたということもあります。

――ご結婚されたのはいつですか。

西岡 25歳のときです。夫が11歳年上で、36歳だったので。結婚当時は、客室乗務員を続けていこうと思っていたんですが、将来のことを考えたときに、たとえば子どもができても続けていけるのだろうかと。あとはやっぱり不規則な生活に体がついていくのが大変で、もちろん続けていかれる方もたくさんいらっしゃるんですけど、自分にはできるのだろうかという不安がありました。

 そんなことを考えながら、オフの日に料理教室に通っていて、教室ってすごく素敵だなあって。同じ空間で、初めましての人たちと料理をつくって、最後は一緒に食べて、みんなでごはんを食べる幸せな時間や空間をつくるって、素敵な仕事だなってすごく思ったんですよね。海外で仕事の仲間たちとごはんを食べていた感覚ともつながるんですけれど。

――はい。

料理家のアメブロを愛読しているうちに「私もやりたい!」

西岡 悶々としていた時期に、私は海外の滞在先でずーっとアメブロ(Amebaブログ)を見ていたんです。その時期、アメブロが流行っていて、いろんな料理家さんがアメブロで発信されていて。

――どういった方のブログを読まれていたのですか。

西岡 「花ヲツマミニ」というタイトルのブログを愛読していて、盛りつけもうつわ選びもセンスがよくて、こういう料理をつくれるって素敵だなあと。日常の食卓の写真とともに、文章が綴られていて、とにかくずーっと読んでいるうちに、「私もやりたい!」って。そこからはもう料理の世界に頭がいっちゃって、けっこうそういうタイプではあるんですけど。

――転職は人生のなかでも大きな選択ですよね。

「私は昔からご飯が好きなので、季節の野菜の混ぜご飯を食べると元気がでます。特に春野菜はご飯に混ぜたくなります。写真はそら豆ご飯。疲れている時は粗塩を少し追加してじっくり味わいながら食べます」(本人提供)

西岡 仕事にできるかというと自信はそんなになくて、当時の自分のSNSには、「料理の勉強をしてみたくて退職します」と書いていました。「料理の仕事をするために」とは書けなかったんでしょうね。それで、まだまだ料理の知識がなかったので、食のプロを養成する学校ということで「エコールエミーズ」に通うことにしました。

 動いてみたら、そこから変わっていくかもしれないと思って。