何らかの手を打つ必要があるが、いまだに国は目立った動きを見せておらず、当事者の1つである千代田区がやむにやまれず動いた形だ。

中国人富裕層によるマンション投資が急増

千代田区では近年、外国人人口が急増している。その中でも目立っているのが中国人投資家の存在である。千代田区・港区・渋谷区の不動産取得者のうち、外国人が占める割合は2~4割程度とみられる。

中国人向けに不動売買を仲介するサイトや会社が近年目立ってきており、日本のマンション投資への意欲が高いことから、そのうち中国人や中国系が占める割合が高いことが推察される。

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経済が停滞し、住環境が悪化し言論の自由も奪われている中国本土から、富裕層が大量に海外へ資産と家族を移す「避難」現象が進んでおり、日本では東京や大阪、福岡などは避難先=投資先として人気を集めている。

日本は外国人によるマンション購入に関して、世界的に見ても規制が極めて緩い。外為法や不動産登記法で外国人の取得を制限していないため、購入のハードルが低い。

それに加えて、政治的安定性や法制度の透明性もあり、安全な資産逃避先として認識されている。

中国人投資家の多くは、法人名義や個人名義で複数戸をまとめ買いし、所有者として中国人向けウェブサイトなどを使った短期転売で利益を狙う。

地元の日本人住民にはほとんどメリットがなく、利益は不動産会社や一部投資家に集中する。全国一律の追加課税や保有期間規制がない日本では、この流れを食い止める手段がほぼ存在しない。

至るところに「小中華圏」が生まれている

さらに見逃せないのは、こうして購入されたマンションの一部が、実際にはオーナーの居住用ではなく、中国人コミュニティの形成拠点として使われるケースだ。

中国人移住者の多くは、日本国内に住んでも生活の情報源や交流の大半をWeChat(微信)やWeibo(微博)など中国系SNSに依存している。日常の情報交換、求人、物件探し、買い物、飲食店情報まですべて中国語ネットワークで完結できる。