こうしたオンライン空間の自前化に加え、物理的な地理集中も起こる。
東京内には、中国語だけで利用できる飲食店、スーパー、美容室、病院、学習塾などが存在している。WeChatを利用すれば、日常生活のあらゆる面で日本語をほとんど使わずとも生活できるようになっている。
近年は中国人だけを相手にしている書店が東京に誕生しており、日本文化と交わらない「小中華圏」を形成しつつある。
東京では池袋や新宿、錦糸町、大阪の心斎橋や天満、福岡の博多などでこうしたエリアが顕著だが、千代田区や港区の高級マンション群でもその懸念がある。
「東京の中心」で反日感情が芽生えかねない
都市内部に「小中華圏」と呼べるような文化・経済圏が生まれると、日本社会との接触が限定的になる。中国系の金融機関を使っているとすると、その住人が納税しているのか、あるいは商売しているのかつかむことすら難しくなる。
いくら住人が増えようが、ローカル経済への波及効果がなく、しかもマンション運営を停滞させているとなると、その地域の荒廃も進みかねない。
最も大きな懸念は、彼らの情報空間が中国語メディアに依存しているため、本国政府の影響を受けやすいことだ。日本に住みながら日本人の価値観に触れる機会がないのであれば、反日感情を育てることになりかねない。
また、いくら中国人側が日本社会に溶け込みたくても、多くの在外中国人を領事館はマークしており、日中が政治的に対立すれば、国家総動員法などをタテに反日行動するよう指示される可能性は否定できない。
外国人による不動産購入に警戒を示す国々
海外の主要都市を見てみると、不動産市場の健全性を守るための防御策を整えてきている。
たとえば、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでは外国人による住宅購入を部分的に禁止している。ロンドンなどの大都市では、外国人が2軒目以降を購入する場合、追加課税や保有条件を課すのが一般的である。