「広陵が文春に対して出した声明は、僕が告発した野球部での暴力事案が、いかにも“でっちあげ”であるかのように思わせる内容でした。でも本当は違う。今回、この『診断書』を公開することにしたのも、僕の告発が実体験に基づくものだと証明するためです」

 

 こう話すのは、かつて同校野球部で暴行の被害に遭い、右半身麻痺に陥ったAさんだ。

「週刊文春」は8月16日、「広陵高校野球部・元部員の衝撃告白」と題した記事(第1弾)を電子版で公開。2015年9月に同校野球部の1年生だったAさんが複数の上級生部員から暴力を振るわれ、意識を失って搬送された末に右半身麻痺に陥り、一時的に車椅子生活を余儀なくされた――という凄惨な体験の告発だった。

 Aさんは2016年1月にも部内での集団暴行に遭い、その後、同校から転校した。2016年1月の件は当時も表沙汰となり、広陵は高野連から「対外試合禁止1カ月」の処分を受けていた。

Aさん

広陵は“右半身麻痺事案”を完全否定

 同記事が公開された直後、広陵高校は公式ホームページを更新。「A氏が怪我をされた事象に関する本校から文藝春秋社への回答の概要を別紙のとおり公表させていただきます」として、声明を発表した。

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 スポーツ紙記者が語る。

「広陵は冒頭で『A氏が「2015年秋頃に野球部内での集団暴行に遭った」という事実はありません』と言い切り、文春が指摘した“右半身麻痺事案”を完全否定しました。広陵の説明によると、A氏は夜間の自主練習中に部室の鉄製の重いドアで頭を打ち、救急車で搬送されたとのこと。あくまで『偶発的な事故』であると結論づけ、そのため高野連にも報告していないと明かしました」