「『銀河英雄伝説』のとき、佐々木さんには台本を前渡ししていなかったんですよ。アフレコ当日に来て、そこで初めて台本を渡していました」(明田川進)

 今も根強い人気を誇る、平成期のOVA『銀河英雄伝説』(全162話)。当時、一流の声優に囲まれながら、物語のキーパーソンであるユリアン・ミンツ役を演じたのが佐々木望さんだ。現場で音響監督を担当した明田川進氏も驚いた、声優としての才能とは? 新書『音響監督の仕事』(星海社)より、2人の対談パートを一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

写真はイメージ ©getty

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佐々木望が「ユリアン・ミンツ」の声を担った理由

――OVA『銀河英雄伝説』のユリアン・ミンツ役は、オーディションで決まったのでしょうか。

佐々木:オーディションでした。

明田川:オーディションはしたかもしれませんが、決め打ちだった気がします。ユリアン役は、ヤン・ウェンリー役の富山敬さんとのバランスもふくめて決まったはずですし、ユリアン役が佐々木さんになったのは『AKIRA』の収録をするうちに僕のなかで徐々に確信をもつようになったという流れもあったと思います。

佐々木:ありがとうございます。そう言っていただけてうれしいです!