〈あらすじ〉
1989年、パリで亡命作家として成功したエディことエドワルド・リモノフ(ベン・ウィショー)は、新刊の出版プロモーションのために一時帰国していた。現国家に対して自分は体制派でも反体制派でもないと語るが、母国への思いは複雑で……。
ロシア某所で生まれ、1969年にはハルキウの工場で働きながら詩を書いていた。その後、妻を捨てて移ったモスクワでエレナ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)と恋に落ち、2人でアメリカへ亡命。やがてエレナとも別れ、荒んでいく生活の中で酒に溺れ男とのセックスも経験、魂の自由と革命を叫び始める。
1977年には億万長者のスティーヴン(トマス・アラナ)の執事として働きながら作家を目指すが、なかなか認められず――。
〈見どころ〉
ソ連崩壊後、ロシア国家主義に傾倒し、「国家ボリシェヴィキ党」を結成、過激派の若者たちを率いたリモノフの、若かりし頃のエピソードを叙情的に描く。監督いわく、彼は「ロシアの『ジョーカー』のようなものだ」。
詩人から作家、執事から革命家へ──
実在した希代のカリスマの激動の人生
ロシアの政治家で過激な“危険人物”として知られたエドワルド・リモノフ(1943-2020)の生涯を、数々の文学賞を受賞した伝記小説をもとに映画化。ロシアのウクライナ侵攻で撮影は難航、監督自身もロシアから亡命し、5年かけて完成させた問題作。
配給:クロックワークス
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆20世紀ロシアの生んだ「鬼っ子」が、踏まれても蹴られても立ち上がってくる。映画の腰もそれに劣らずしぶといのだが、主人公の混乱を性的に描き出そうとすると、語りがくどくなる。ベン・ウィショーは見飽きないのに。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆美しさと自由とエロスの自負を放ち、己を売り込む男リモノフ。貧しい労働者だが他者を魅了するパワーは凄まじい。「不平等と差別を共産主義は隠すのが上手くて、資本主義は丸出しにする」など面白い言葉がいっぱい。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆“ヒーロー志願の道化”としてのカルト的人物をB・ウィショーが爆演。大ネタのロック曲連発のキャッチーな作りでありつつ、反逆児が愛国に傾いていくねじれのメカニズムを批評的に描く。この監督ならではの政治の解剖学。
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洞口依子(女優)
★★★★☆ベン・ウィショーが騒々しく実像の捉え処が難しいリモノフを見事に演じている事に勇気が湧いてくる。俳優は演じることで既成概念のストッパーが外せることを再確認。彼を映画で目撃することで大戦後の歴史も入ってくる。
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今月のゲスト
柳亭小痴楽(落語家)★★☆☆☆ロシアの歴史に明るくない私には正直、リモノフの生涯の描き方が錯綜的で少し難しかったが、彼のひっちゃかめっちゃかな頭の中がよく表されていた。個人的な好みはともかく政治に関心を持ち始めた若者にはぜひ観てほしい!
りゅうていこちらく/1988年、東京都生まれ。落語家。若手真打の一人としてメディアでも活躍中。著書に『令和の江戸っ子まくら集』など。 次の独演会は、9月19日(金)「柳亭小痴楽 全国ツアー カチコミ’25」東京・なかのZERO 小ホールにて。
- 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
- おすすめできます♪★★★★☆
- 見て損はない。★★★☆☆
- 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
- うーん……。★☆☆☆☆
©Wildside, Chapter 2, Fremantle España, France 3 Cinema, Pathé Films.
配給:クロックワークス
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『リモノフ』
監督:キリル・セレブレンニコフ(『チャイコフスキーの妻』)
原作:エマニュエル・キャレール『リモノフ』
2024年/伊、仏、スペイン/原題:LIMONOV.THE BALLAD/133分
https://klockworx-v.com/limonovmovie/




