皇室の今後にも大きく影響しうる宮内庁人事。そのトップ争いはどうなっているのかーー。月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」のオリジナル記事から一部紹介します。
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「眞子さん出産」は知らされていなかった
西村泰彦宮内庁長官(昭和54年、警察庁入庁)の勇退が秒読み段階に入った。同長官の職に定年はないが、皇室では70歳を迎えると勇退を申し出ることが許されるとの不文律があり、西村氏は6月に70歳となったため、秋篠宮家の長男・悠仁さまの9月6日に行われた成年式を花道に年内にも、遅くとも来年前半には退任する見通しだ。後任は元総務次官の黒田武一郎宮内庁次長(57年、旧自治省入省)が順当にスライドする。
一方で注目が集まっているのが、秋篠宮家を公私にわたって支える宮内庁皇嗣職のトップである皇嗣職大夫に昨年就任したばかりの吉田尚正氏(58年、警察庁)だ。
現在の皇室では、11月に90歳をお迎えになる常陸宮さまを含めてわずか3人しか皇位継承資格者が存在しないが、秋篠宮家はこのうちの2人を擁する。この吉田氏が、早晩、西村氏に続いて身を引くのではとの憶測が流れているのだ。
吉田氏は西村氏の4代後の警視総監。警察庁長官や警視総監となってゴールテープを切ったエリート警察官僚のさらなる昇格先としては、元長官の栗生俊一前内閣官房副長官(事務担当。56年、同)、元総監の小島裕史内閣危機管理監(63年、同)や西村宮内庁長官らのような、国家公務員法第二条に規定される公職の最高ランク「特別職」が指定席で、新設された皇嗣職大夫もこの名誉ある特別職。
にもかかわらず早々に退任の噂が流れている背景について、警察関係者は「秋篠宮家が置かれている状況にどうも原因があるようです」と解説する。
吉田氏は就任間もない昨年9月6日、悠仁さまの誕生日にあたって開いた記者会見の席上、SNSなどで当時流布されていた悠仁さまの東大推薦入学説について、「根拠のない情報。心を痛めている」と発言。今年5月30日には、結婚後、米国で暮らす秋篠宮家の長女・小室眞子さんに「(第一子となる)お子さまがご誕生になりました」と公表したうえで、「(女性週刊誌など)一部メディアで報道されたためお知らせしました」「皇室を離れた方の事柄であるので(出産時期や性別など)詳しいことは承知していません」と述べた。

