「もう、ないと思っていました」

「もう、ないと思っていましたね。ただ、お米が高騰しておにぎりが高くなって、そのタイミングであえて100円セールをやったのは、すごい宣伝効果やなと」

久しぶりの“100円セール”は大きな話題を呼んだ 筆者撮影

 初日はおにぎりがたくさん並んでいて、ふだん買わない高い商品を買ったという。「100円セールみんな知らんのかな……と思っていたら、2日目から最終日までは売り切れのおにぎりが続出でした」と振り返る。

 しかし、100円セールがまた戻ってくるかはわからないし、おにぎりの値上げは止まらない。節約で始めたおにぎり生活だが、本末転倒になりかねない価格高騰に高下さんも困り顔だ。

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劇的に値が上がったのは今年(2025年)に入ってからですね。もうホンマに土手が決壊したように、どんどんと……」

「定番おにぎり」がなくなる可能性も?

 今後のセブン‐イレブンのおにぎりはどうなるか。高下さんは「まず、安いおにぎりと高いおにぎりの二極化が進みます」と断言する。

 セブンのライバル、ファミリーマートの細見研介社長も、2023年の決算説明会で「高いおにぎりと安いおにぎり、両極の商品が売れている」という趣旨のコメントをしていた。

 しかし、その「安いおにぎり」ですら、どんどん値段が上がっている状況だ。

 これから日本の稲作農家も急減が予想されており、米の価格は高止まりを続けているため、値下げは考えにくい。結果、おにぎり離れも一部で進みつつあるようだ。

「例えば大阪でたこ焼きは昔『10個100円』などで売っていたんですが、今『8個500円』などになりました。おにぎりもいつかそうなるかもしれません。すでに『おにぎりが高いから、代わりにパンやカップ麺を食べている』というのはよく聞きます

いずれは塩むすびですら、200円台に突入してしまう可能性もある 筆者撮影

 米の価格はもともと「安すぎた」とも言われる。しかし、値上げした価格が適正価格だったとしても、“適正給料”をもらっていない多くの庶民には受け入れがたい。さらに高下さんは語る。

「これからのりも生産が減って価格が上がることは確実ですし、コンビニおにぎりの定番だった手巻きおにぎりタイプは将来的に、なくなってしまうかもしれません」

 度重なる値上げや定番が消滅する可能性にも直面しつつ、高下さんは「これからもセブン‐イレブンのおにぎりを食べ続ける」と話す。

「おにぎりがアイデンティティになりましたし、習慣づいていますから。もう、ライフワークですね」

 これがホントの「ライスワーク」だ。

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記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。