――そうやってパチプロとして生計を立てていた2005年、デイトレードの存在を知ることになったそうですね。ネット証券が誕生して売買手数料が大幅に下がり、デイトレが流行っていた頃です。

テスタ あの頃は書店にデイトレの本が溢れていて、読んでみたところ「これはいいな」って。デイトレなら企業分析とか難しい勉強をする必要がないし、決算書を読む必要もない。当時は株式市場が開いているのは9時から11時と12時半から15時までの4時間半だったんですよね(現在は9時から11時半、12時半から15時半までの5時間半)。

  パチンコだと稼働時間が13時間くらいで大変だったし、何より家から外に出なくていいのが魅力的でしたね。人と会う必要もないですし。

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――引きこもりの発想ですね(笑)。

テスタ たくさんのトレーダーのブログを読み漁ったんですが、パチンコよりも安定して勝っている人が何人もいたので、「これはすごい世界だな」と思ったのを覚えています。

  デイトレを始めたばかりの頃は、300人くらいのブログに目を通して研究していました。勝つ人と負ける人は何が違うのか、とか。僕自身も毎日ブログを更新して、成果や反省点などを書いていましたね。

  最初の2か月は負けたんですけど、3か月目に15万、4か月目に30万の利益を出せるようになりました。でも、勝てるようになっても楽しいと思える余裕はなかったし、最初の1年間は毎朝、吐いていたんです。

――毎朝ですか?

テスタ そのときは、なんで吐き気をもよおすのか自分でも分からなくて。朝起きて、気持ちが悪いからトイレに行って吐くんですけど、そのあとはすっきりしてパソコンに向かえていたので、病院に行くという発想もなく。

  体調が悪いわけでもなかったので、夜寝る頃には忘れているんだけど、朝起きたらまた気分が悪くなって。そんなことを1年くらいかな、繰り返していたある日、「あれ、そう言えば、吐かなくなったな」って気づいて。

  あとから考えると、自分でも気づかないうちに不安やプレッシャーを感じていたのかもなって。

「自分が株を始めたとき、1億を達成するなんて1ミリも思ってなかったんで」

――2006年のライブドアショックも、2008年のリーマンショックも、大きな損失なく乗り越えて順調に利益を伸ばし、2011年に総利益1億円を突破。2013年には総利益5億円を突破します。「トレードだけで生きていける」と確信できたのは、いつ頃ですか?

テスタ 5億を超えた辺りですかね。サラリーマンの生涯年収は2億円くらいだって言うじゃないですか。だから、「貯金が2億あれば大丈夫かな」って漠然と思っていたんです。それで総利益が5億になったときに、「これで一生生きていけるかな」と思ったのは覚えています。

  ただ、圧倒的に嬉しかったのは1億円を突破したとき。当時は1億いけば「カリスマトレーダー」と呼ばれていた時代で、自分が株を始めたとき、1億を達成するなんて1ミリも思ってなかったんで。

©︎文藝春秋

  9000万を超えて初めて「1億円いけるかもしれない」と思うようになって、達成の1か月前くらいから「1億まであといくら」って1円単位で計算してました。やっぱり万から億に変わるのって、夢みたいな話ですから。

――2011年に「億り人」になって、2013年に総利益が5億円を突破したわけですが、実際にはこの2013年だけで約5億円の利益を出していますよね。この年、何が起きたのでしょう?

テスタ 僕がデイトレを始めた2005年9月から2012年12月まで、日経平均は基本的に下がり気味だったんですね。でも、どれだけ景気が悪くても、株価が下がり続けて1円になるなんて絶対にない。それは歴史が証明していて、いつか上げ相場が来るはずだと。「そのときにはビビらず、強気に勝負しよう」とずっと思いながら待っていた。そうしたら、ついに来たんです。

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