新宿と名古屋のタトゥースタジオで彫り師として働くてんてんさん(32)。

 全身に龍や般若、アニメのキャラクターのタトゥーを入れている彼女は「かわいすぎる」「芸術作品だ」と反響を呼び、インスタグラムやTikTokを中心に人気を集めている。なぜ彼女はタトゥーを入れるようになったのか、そのきっかけを聞いた。(全3回の1回目/つづきを読む

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18歳で腕に龍のタトゥーを入れる

――最初のタトゥーを入れたのはいつ頃ですか。

中学生くらいの頃(本人提供)

てんてん ちゃんと彫り師に入れてもらったのは広島に住んでいた18歳の時です。左腕に龍のタトゥーを入れてもらいました。3時間の施術を3回ほど受けました。

――迫力のある和彫ですね。なぜ龍のタトゥーを入れたんですか。

てんてん 他の人と被らないタトゥーを入れたかったんです。彫り師さんに「女性があまり入れていないデザインはなんですか?」と聞いたら、「龍やトラはあまりいないかな」と言われて。「じゃあ龍にします!」とお願いしました。

――どんなスタジオでしたか。

てんてん 彫り師さんはコワモテの職人であまり話さない人でした。しかも、施術中に小さいDVDプレイヤーをベッドから見えるところに置いて、お笑いのDVDを見せてくるんですよね。

 部屋はシーンとしているのに、おもしろい映像が流れてくるので笑いそうになりますが、声を出したら怒られそうで。修行させられている気分でした(笑)。

――なかなかクセの強いスタジオですね。そこで入れたタトゥーはひとつだけですか。

てんてん 鳳凰のタトゥーもお願いしました。ただ、この時はめちゃくちゃ大変で。朱色のカラーを入れてもらったんですけど、肌にインクが馴染まなくて荒れてしまったんです。

 インクのカラーアレルギーがあったみたいで。タトゥーを入れると通常は3日くらいでかさぶたになるんですけど、しばらく傷が治らずにかゆかったです。

――そもそもタトゥーに興味を持ったきっかけは?

てんてん 14歳の頃、不登校であまり素行のよくない先輩や友人と遊んでいたんですけど、みんなタトゥーに憧れを持っていたんです。わたしも同じで、どんなタトゥーもかっこよく見えました。

 ただ、タトゥーは県の条例で18歳までは入れられなくて。もしスタジオで入れた場合、タトゥーを入れた彫り師さんが罰則を受けるので、内緒でお願いすることもできませんでした。

てんてんさん ©︎山元茂樹/文藝春秋

 でも、18歳まで待てないので、自分たちで彫ろうという話になって。これまでに絵を描いたことがなかったのに「絶対きれいに描ける」と自信満々でタトゥーを腕に彫ろうと決めました。