新宿と名古屋のタトゥースタジオで彫り師として働くてんてんさん(32)。
全身に龍や般若、アニメのキャラクターのタトゥーを入れている彼女は「かわいすぎる」「芸術作品だ」と反響を呼び、インスタグラムやTikTokを中心に人気を集めている。24歳になった頃から身体に入れるタトゥーを増やした彼女にその理由と彫り師になった経緯、周囲からの反応について話を聞いた。(全3回の3回目/最初から読む)
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風俗店でタトゥーキャラになり人気を獲得
――タトゥーはいつ頃から増え始めたんですか。
てんてん 24歳の時に大阪からまた名古屋に戻って名古屋の風俗店で働くようになって。そこでタトゥーを増やしていきました。
――風俗店はタトゥーに厳しいイメージがありますが……。
てんてん めちゃくちゃ厳しいです。ただ、わたしが入店した店舗はタトゥーが入っていることをオープンにして、そこを押し出してくれたんです。
パネルの写真も特別仕様にしたことがあって。普通はドレス姿なのに特攻服をきてタバコをくわえた姿で写りました。
意外とタトゥーを入れている女性を好きなお客さんも多くて、指名してくれる人はだんだんと増えていきました。他のお店にはわたしみたいにタトゥーを入れている子はいなかったので、コアなファンの方が何回も来てくれましたね。
整形をしても死にたい気持ちが消えずにタトゥーを全身に
――タトゥーを増やした理由は、風俗店の影響が大きかったんですか。
てんてん もちろんそれもあります。隠すことを考えなくてよくなりましたからね。それと身体に好きな絵と痛みを刻みたくて。誰にも言ってませんでしたけど、もともと自殺願望があったんですよ。命を絶とうとしたこともありますし、30歳までに死のうと考えていました。
でも自分にお金をかけたら、もっと生きていたくなるかなと思って。だから大阪に住んでいる時にたくさん整形したんですよね。
――整形することで気持ちは変わりましたか。
てんてん それがまったく変わらなくて……。それなら自分の身体に生き方を刻みたいと思って、再びタトゥーを入れるようになったんです。
タトゥーって、デザインを自分で決めますし、痛みも強いので、彫ったタトゥーが自分自身の表現に思えて……。
――好きなデザインを身体に入れるうれしさに加えて、自傷行為のような側面もあったんですね。
てんてん だから目一杯タトゥーを入れた身体を作って30歳までに死のうと思っていました。タトゥーって火葬されるまで身体から消えないじゃないですか。死んでもなくならないものだからと、お金を注ぎ込むことにして。
そうすると不思議なことに生きる気力が少し湧くんですよね。ひとつのタトゥーを完成させたら、次はこのデザインを入れようと考える。タトゥーを入れると寿命が伸びる気がして。生きる目的になっていましたね。


