若きギャルが「職人仕事」を選んだ理由

――ギャルなのに、職人仕事かつ現場作業で働いているというのが、なかなかギャップありますよね。

らん 中学3年生で『egg』の専属モデルになれて、仕事との兼ね合いもありますし、高校に進学するかギリギリまで悩んでいたんです。結局、高校にはいかないことにしたんですが、もともとモデル以外でもお金を稼ぎたいなと思っていたんですが、就職活動を始めたのが中学を卒業する直前になっちゃって。

 求人サイトで「年齢不問」の求人を探したのですが、さすがに15歳だと応募できないところがほとんどでした。とにかく気になる会社の電話番号を探して「15歳だけど、面接してくれませんか」って問い合わせていました。15歳と伝えると「ちょっとうちでは……」と断られることも多かったので、電話をかけるだけでもめちゃくちゃ緊張しました(笑)。そんな中で採用してくれたのが、今の職場です。

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――クロス屋さんというのは、特に狙っていたわけではなかった?

らん クロス屋さんに限らず、職人の世界って外見や年齢、経歴じゃなくて「仕事」で評価していただけるイメージがあったのがまず大きいです。実際に服装や髪型は自由だし、モデルの撮影があるときはお休みもいただけますし、そこが本当にありがたいですね。

 あと、お父さんに就職先の相談をしたときに「クロス屋さんなら屋内仕事がメインだし、重いものを持つことも少ないだろうから、女の子でもやりやすいんじゃない?」ってアドバイスをもらったこともあって、確かになと思いました。

仕事に真面目に取り組んでいれば、髪の毛など外見についてとやかく言われないのが職人の世界の良いところだという(写真=本人提供)

――面接では、どんなことを聞かれましたか。

らん 「このタイルカーペットを、1ケース分持ち上げられたら採用するよ」と言われました。見るからに重たそうで、持ったらその想像以上に重かったんですけど、なんとか持ち上げましたよ。「お父さんがクロス屋さんは重いもの持たなくていいって言ってたのに、全然そんなことないじゃん!」って思いながら(笑)。

――初出勤の日はどうでしたか?

らん 当たり前ですけど、初めて会う人たちばかりですし、仕事内容も何もわからないから「どうしよう」と固まってました。後から聞いた話ですが、その当時はピンクと青のツートンカラーの髪だったので、周りからは「こいつ大丈夫かな?」「本当にこの仕事できるの?」と思われたみたいです(笑)。でもそれから2年以上経った今では、「ここは任せたぞ」なんて言っていただける場面も増えてきて、嬉しいですね。