日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

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トヨタの米国販売が堅調なワケ

 トヨタ自動車(佐藤恒治社長)の米国販売が堅調だ。7月は前年同月比20%増の21万8022台、8月は同13.6%増の22万5367台となった。

トヨタ自動車の佐藤恒治社長 ©EPA=時事

 関税負担が続く中で販売が増えた要因について「実質的な値下げだろう」と同業他社幹部は推測する。主力の「カムリ」や「タコマ」でキャッシュバックを実施。同業他社幹部は「ダメージを受けている」とぼやくが、「日産自動車(イヴァン・エスピノーサ社長)への影響が大きいのではないか」と言う。

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 日産が苦境に喘ぐ原因の一つは、本来ならドル箱の米国市場での不振だ。昨年、主力のSUV「ローグ」のモデル切り替えが遅れ、旧モデルの在庫減らしに巨額の販売奨励金が注ぎ込まれた。1台あたり平均4000ドルとも言われ、その負担もあり25年3月期決算は営業利益が前年同期比87.7%減の698億円、当期純損益は6709億円の赤字に沈んだ。

「トヨタのキャッシュバックを受け、日産はさらに身を削らなければならなくなるはずだ」(同前)

 苦しいのは北米だけではない。国内でも小型車「ノート」は20年以降、フルモデルチェンジがなく、25年上半期の国内販売台数はダイハツ工業(井上雅宏社長)に抜かれ5位に転落。加えて、今年7月には約8600億円にのぼる社債を発行した。自力再建はかなり厳しい状況で、「監督官庁の経産省が乗り出すしかないだろう」(メガバンク幹部)というのが大方の見立てだ。

この続きでは、経産省とトヨタの間柄について関係者がコメントしています〉

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年11月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。

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