ITサービスや新NISA…日本が抱える「デジタル赤字」

 2024年前半からインフレが落ち着いたアメリカは金利を引き下げ、日本はインフレが定着したから引き上げる。だから円安から円高に転じると予想する専門家も多かった。

 しかし、アメリカのインフレは想像以上に長引いているし、日本も経済が弱体化しているから、大幅に引き上げるわけにいかない。2025年も日米の金利差は小幅に縮小することがあっても、大幅に縮小する可能性は低い。

 さらに、最近は新しい要因が出てきた。

ADVERTISEMENT

 一つはデジタル赤字というもの。皆さんも使っているだろうけれど、インスタグラム、X(旧ツイッター)、ユーチューブ、ネットフリックス、アマゾンといったアメリカのIT産業のサービスは日本で大人気だ。日本人のぼくらが使った利用料は、ドルになってアメリカの本国に送られる。この赤字は2023年には年間5兆円を超え、世界最大級のものとなっている。

 また、新NISAで外国株や投信の人気が高いのも、新たな日本の赤字として浮かび上がっている。これも年間数兆円ぐらいの赤字になる。これらの赤字は円を売ってドルを買うわけだから円安要因になる。

時代に対応する最適解とは…

 こういう状況を見ると、今の為替レートが数年前のような1ドル100円の円高になるとは考えにくい。円安の場合、海外旅行に行ったら物価が上がっていて大変だが、海外に投資していれば大きな利益になる。

 株式自体が中長期的に上昇傾向にあるうえ、為替で利益が上がるから海外投資は二度おいしい。逆に円預金だけなら、どんどん目減りしていく。

 そもそも、日本で生活していくなら基本的に給料はすべて円で支払われる。円安で円の価値がどんどん目減りしていくわけだから、資産の一部をドルなど外貨建て資産で持つことが、家計を防衛するということにつながる。

 ただドル預金はドル建てでは元本が下がることはないが、銀行では為替手数料が非常に高い。そのうえ、株式のリターンに比べると、利率の高い外貨預金でもリターンは見劣りしてしまう可能性が高い。外貨建ての生命保険も同様だ。

 従って、株式への国際分散投資が時代に対応する最適解といえるだろう。

次の記事に続く 独自の貯蓄法で築いた財産は数百億円……東京帝大教授が推奨した誰でもおカネを貯められる“貯蓄術と投資術”のすべて