消費税を下げてみればわかること
日本衰退の最大の犯人は消費税である。これを廃止すれば、景気は間違いなく上向くだろう。1989年に3%の消費税が導入され、1997年に5%に引き上げられ、2014年に8%、2019年に10%になって現在に至っている。経済が順調ならば民間最終消費支出は右肩上がりに伸びていくが、消費税が上がると、民間最終消費支出は、必ず前年度を下回り、景気の足を引っ張る。
例えば、消費税が10%に上がった2019年には民間最終消費支出は前年度比99.1%で、2020年は前年度比95.2%に落ち込んでいる。2023年になっても民間最終消費支出が最も多かった2013年(8%の消費税が導入される前年)の97%に留まっている。もし、消費税が5%のままだとすると、2013年の水準から民間最終消費支出が平均的な上昇率である年2%上昇するとして、2023年度は373兆円(実際は296兆円)になっていたという計算になる。
消費税が導入されるのに伴って法人税が減税され、1998年から1999年にかけてそれまでの37.5%から段階的に30%に引き下げられ、2012年に25.5%、2015年から2018年にかけても段階的に引き下げられて、現行の23.2%になっている。長らく政権党である自民党への多額の政治献金と引き換えに、法人税の減税を勝ち取ってきた大企業は、「大企業が栄えれば経済が栄える」というトリクルダウン説を振りかざして、自分たちだけが儲かることに奔走してきたが、トリクルダウン説が間違っていることは、消費税を上げて法人税を下げて大企業を優先してきたのとパラレルに、日本の経済が衰退したことから、もはや議論の余地がない。
大企業が儲かっても社員の給与は上がらない
法人税を下げて、企業が儲かっても儲けの大半は内部留保(企業の黒字分を使わずに貯蓄しておくこと。2023年度の内部留保金は過去最高の600兆9857億円)になっているため、この金は市場に流れずに景気を喚起することに役に立たない。せめて、自社の社員の給与を上げることに回せば多少は景気が良くなると思うが、現状では、大企業が儲かっても、株価と役員の給与が上がるだけだ。
一方、消費税を増税すると、低所得層は消費行動を控え気味にするので、先に詳述したように景気は絶対に下がるのである。GDPの5~6割は家計の消費なので、消費税の影響は大きい。内部留保が600兆円以上あるのだから、法人税を上げるべきだ。法人の99%は中小企業で、大半は黒字すれすれか赤字なので、法人税を上げても中小企業への影響はほとんどない。
消費税は輸出企業には有利で、国内からの部品等の調達には消費税を払い、輸出先からは消費税を取れないので、支払った額ともらった額の差額が還付金として戻ってくる。例えばトヨタの2022年の消費税還付金は5276億円で日本一、2位は日産の1897億円、3位は本田の1879億円と、これらの大企業は消費税が上がっても一向に困らないばかりかむしろ得するわけだ。部品を納入する中小の下請け企業は、消費税をもらってもギリギリまで値下げさせられているのであまり儲けは大きくない。ということは大企業が得しているということだ。
