食うや食わずの庶民からも容赦なく搾り取られる消費税
アメリカ大統領のドナルド・トランプが日本の消費税を廃止しろと言っているのは、日本国内で自動車を売ると10%の消費税を取られるが、アメリカに輸出すると関税は2.5%で、日本に比べ販売価格が割安になるので、実質的にダンピングになり、アメリカの自動車産業を圧迫するからけしからん、という理屈だ。日本の一般庶民にとっては、消費税は取られ損なだけだけれどね。
消費税を減税すると税収が足りなくなってやっていけないという議論がある。確かに国の税収の割合を見てみると、税収65.2兆円の内、消費税が占める割合は33.1%、所得税31.3%、法人税20.4%、その他15.2%(2022年度)となっている。それ以外の歳入として公債金が36.9兆円、その他が5.4兆円あり、国の一般会計歳入は107.6兆円である(2022年度)。
内部留保が600兆円以上ある法人からの法人税は13.3兆円で、食うや食わずの庶民からも容赦なく搾り取る消費税が21.6兆円というのは異常としか言いようがない。消費税を下げれば、景気が回復して企業の利益も上がり、労働者の賃金も上がるので、消費税の減税分を補って余りある税収が期待できると思う。噓だと思うなら消費税を5%に下げてみればわかる。それで数年たって税収が上がらなかったらまた10%に戻せばいいじゃないか。
通貨発行権のある日本の政府がやるべきこととは
亡くなった森永卓郎にザイム真理教と揶揄されたように、日本の財務省は均衡予算主義(税収と歳出が同じになるのがベストという考え)を墨守しており、歳出が増えたら、税収を増やさなければならないとかたくなに考えている。そのため予算が緊迫するととりあえず税収を上げようと考える。法人税の増税は大企業が反対し、所得税の増税は富裕層が反対するので、一番手っ取り早いのは消費税の増税、というわけで、消費税率はどんどん上がってきた。
しかし、MMT(現代貨幣理論)によれば、日本のような通貨発行権のある政府は、通貨を発行して歳出に充てることが可能なため、財源を税収に頼る必要がなく、均衡予算主義とは縁を切っても問題はない。また、MMTによれば、通貨発行権のある国は、通貨を発行しても、自国通貨建ての国債を発行しても、デフォルトに陥ることはない。例えば、国債を発行して償還期限が来たら、通貨を発行して返せばいい。注意することは国民経済における財やサービスの供給能力を無視して、通貨発行権を使った積極財政(通貨や国債の発行)を推し進めれば、インフレが加速するので、インフレ率を勘案しながら、通貨を発行しなければならないことだけだ。