MMTを信用するとハイパーインフレになって国が破綻すると主張する人がいるが、日本の2024年12月末時点の国債残高は1317兆6365億円もあるけれど、日本はハイパーインフレにもなっていなければ破綻もしていない。均衡予算主義はここだけ見ても経済の動向に整合的な理論でないことは明白である。インフレ率を何%まで許容するかは難しいが、2~4%を目安に、この範囲で収まっていれば、積極財政を進めていって問題はない。

大地震を乗り切るための体力

 まず、消費税減税をして(最終的にはゼロにして)、景気を喚起する(民間最終消費支出を上げる)。景気が上向きになれば財やサービスの供給量を増大させなければならないので、生産力は上向きになる、生産力が上向きになれば、それに見合う通貨を発行して需要を喚起し、積極財政を推し進める。国債を発行して歳入を増やし、南海トラフ地震に備えて、自給率を向上させるために第一次産業に大幅な補助金を出し、生産者数と生産量を増やす。食料自給率は100%が望ましいが、10年の余裕があるので、毎年5%ずつ増やせば現在の38%を90%近くまで引き上げられる。

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 次に南海トラフ地震に備えてインフラ整備をする必要があり、そのためにそれなりの資金を投入すれば、日本の生産力は上がるだろう。景気が上向けば、賃金も上がって消費力が上がり、それに見合う供給力が必要になり、総体として生産力が上がり、南海トラフ地震を乗り切れる体力(国力)がついてくるだろう。

写真はイメージ ©︎hika_chan/イメージマート

 ここまでしてもインフレ率が低ければ、もっと通貨を発行しても問題がないわけで、ベーシックインカムをやればよい。ベーシックインカムとは国民のすべてに無条件にお金を支給することで、金持ちにも低所得層にも一律に同額を支給するのである。これは金持ち優遇と言われそうだが、確定申告で金持ちからは所得税として戻してもらえばいい。なぜ一律がいいかというと、システムが簡単だからである。低所得層には沢山配って、金持ちには配らないような制度を作ると、このシステムを立ち上げるのにコストがかかる。一律に配って確定申告の時に調整する方がコストがかからないのだ。

 ベーシックインカムをどのくらいの額にするかは難しいが、最初は月に2万円くらいから始めて、インフレ率を考慮して調整すればいいと思う。1.2億人に月に2万円配るとして、年に30兆円弱の通貨を発行すればいい。1300兆円余りの国債残高があっても破綻していないのだから、これくらいのお金を国民に配っても問題はない。景気は絶対に良くなって生産力も上がり、もちろん国力も上がるに違いない。上手くいけば、南海トラフ地震を乗り切れるだろう。

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