──そうして相談に来た患者さんに、後から行える治療もあるのですか?

村松 傷あとをできるだけ平らに整える治療は存在します。特に顔の場合は凹凸があると、メイクで隠そうとしても光が当たったときに浮いて見えます。その立体感をできるだけ目立たせないように、レーザーなどで整えるんです。

 うちの患者さんのアンケート調査では、約9割が「治療を受けてよかった」と答えてくれるのですが、これは結果そのものより「傷あとがどう治っていくか、きちんと説明を受けて納得できた」ことが大きいのではないかと思います。一方で、約1割の方には不満が残ってしまっている。「ここまでキレイになれば満足」という水準の理解を事前にすり合わせるのは、本当に難しいです。

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「鼻の周りの手術は難しい。執刀医の技術の差がすごく出る」

──他にはどんな相談があるのでしょう。

村松 ホクロの次に多いのは、鼻周りの相談です。最近は人中短縮(じんちゅうたんしゅく)や小鼻縮小などの手術を受ける方が増えているのですが、トラブルも増えている印象です。

 人中短縮は、鼻の下と上唇の間を切って距離を縮める手術です。こうすると上唇が持ち上がりふっくらと見えるので「かわいく柔らかいイメージになれる」と美容外科で人気が上がっています。

人中短縮手術の傷あとに悩んで来院する患者は近年急増しているという 村松医師提供
村松医師のクリニックで治療を受けて2年後の様子。かなり目立たなくなったことがわかる 村松医師提供

──顔の真ん中ですし、あとが残ると気になりますよね。

村松 しかも鼻の周りは顔の中でも手術の難易度が高く、執刀医の技術の差がすごく出るんです。鼻の下は血管や神経、筋肉が複雑に絡み合っていて、おまけに皮膚が薄く口に近いので皮膚が引っ張られやすいんですよね。

 だから体の構造をわかっていない医師が触ると、赤みが残ったり、盛り上がったり、引きつれた傷あとになる場合があります。