美容外科で医者を選ぶ時の「最低条件」とは
──愛護的?
村松 治療や手術をするときに、皮膚や血管、神経などの組織をいたわりながら丁寧に扱うことです。たとえば手術では皮膚を「剥離」、つまりはがしますが、形成外科医はこの剥離をするときに細心の注意を払います。当然、傷口を縫い合わせるときもめちゃくちゃ慎重になるんです。そういう視点で患者さんの傷あとを見ると「なんだ、このありえない傷口は?」「なんでここを切ってこう縫っちゃったんだ?」と思うことが多いんですよね。
──では、美容外科はどういう視点で選べばいいのでしょう。
村松 特に鼻周りやリフトアップなど、切開を伴う手術を考えているなら、Webサイトの医師プロフィールに「形成外科の経験があるか」を見ることです。これは最低条件で、できれば「形成外科専門医」の資格がある医師。それでも100%安心とは言いきれませんが、少なくとも適切な手術をしてくれる可能性が高いです。
あとは、そのクリニックが術後のフォローアップ体制を整えているかどうか。ちゃんとしているところはサイトに明記していますし、よくわからなければ電話で問い合わせてもいいと思います。大金を払って手術を受けるわけですから、事前にそれくらいしても全く問題ありません。
──最後に、村松さんが日々の外来診察で感じることはどんなことでしょう。
村松 僕は自傷患者さんのほか、美容外科の術後の患者さんを1日あたり新規で10人くらい診ています。クリニック全体でいうと日本一に近い人数を診ていて「美容外科の先生は技術を上げてほしい」と切実に思っています。
形成外科は他の科でうまくいかない症例をバックアップするための科なので、 “傷あと”のプロであることに誇りは持っています。まぁ、SNSで直美の先生がランボルギーニとか乗ってるのを見ると、ちょっとモヤッとするのも事実ですけどね(笑)。
村松英之
形成外科医。「きずときずあとのクリニック豊洲院」院長。昭和大学医学部卒業。2017年、傷あと治療に特化した同クリニックを開き、これまでにのべ1万5000人(うち自傷痕の治療1031人)の治療を行う。2022年には日本自傷リストカット支援協会を設立。日本形成外科学会専門医、日本熱傷学会専門医、日本創傷外科学会専門医。
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