知ってほしい2つのマンガ作品

――子どもの頃は、どんな子どもでしたか?

ニケライ とてもうるさかったです(笑)。今とあまり根っこは変わらないと思うんですけど、とにかく元気いっぱいのおてんば娘でした。外国にルーツを持っている人の多くは、幼少期から何かしらの苦悩を経験していると思います。私もそうです。そのことを、やっぱり少しでも知ってほしいという気持ちもあるんです。それで、今日は2つのマンガの存在を、皆さんに知っていただけたらと思って。ちょっと紹介していいですか?

――もちろんです。ぜひお願いします。

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ニケライ 1つは、『半分姉弟』というマンガです。「ハーフ」と呼ばれる人々の日常を描いたもので。私はハーフではないですが、日本ではないルーツを持っている人たちのリアルや苦しみ、生き方が表現されていて、「分かる!」って思いながら読んでいます。もう1つが『若草同盟』というマンガです。こちらは「普通って何だろう?」と考えさせられる物語です。主人公・カイロが、自分の人生で経験したありとあらゆる感情をマンガに落とし込んだように、私も役者として、私なりに役を通じて人生を全うしたいと思っていて。ぜひ読んでほしいです! 

©︎榎本麻美/文藝春秋

帰化してわかった「日本人らしさ」の幻想とそれからの苦労

――ニケライさんは、ご自身のルーツであるイランへ行かれたことはあるんですか?

ニケライ 2回だけ行ったことがあります。それに私は小学生のとき、広尾にあるイラン大使館へ通っていて、そこでペルシャ語などを学んでいたんですよね。

――大使館の中に、そういった授業があるんですか?

ニケライ あるんですよ。日本にいるイランルーツを持っている人が学べる授業というか。例えば、算数の場合、日本の小学校よりもイランの方が先に難しいことを教えるので、数か月後に「あ、ここは大使館で勉強したところだ」なんて助かったり。

 少し話が逸れますが、私の中で「日本人になりたい」みたいな気持ちが幼少期からずっとありました。3年前に日本国籍にやっと帰化できましたけど、いざ帰化してみると、私自身は何も変わらないんだなって。

 もちろん、国籍がイランから日本に変わったので、戸籍上はとても大きな違いはあります。だけど、中身は全く変わらないじゃないですか。日本国籍を取ったから“日本人”になるのではなくて、日本で一生懸命生活を営んでいる人が“日本人”なんだなって。ずっと日本人になりたいと思っていましたが、私が追い求めていた「日本人らしさ」なんて幻想なんだと思いました。

©︎榎本麻美/文藝春秋

 帰化するとき、一般的には苗字を変えて、「山田ファラナーゼ」みたいにするんです。というのも、カタカナのフルネームって今の日本で生活するのに苦労することが山ほどあるんですよね。私が一人暮らしをする際も、外国籍であることに加え、カタカナのフルネームという理由で、部屋を借りるのに半年くらいかかりました。