――日本で生まれて、日本で育ったのに、外国人として扱われてしまうと。

ニケライ そうです。でも、私の母国・ふるさとは日本なんです。イランはあくまで私のルーツです。だからこそ、私は帰化しても今まで通りニケライ ファラナーゼのままにしました。これからも親からつけてもらった大切な名前で生きていきたいと強く思ったからです。なので、作品や役を通じて、ニケライ ファラナーゼという一人の役者を少しでも知ってもらえたら嬉しいなって。いつか、イランの面白い映画を日本に持ってきて、日本語に翻訳して吹き替えをするのも、私の夢の一つなんですよね。

日本史好きで「戦国武将だけどチョーお茶目」「弟にほしい!」

――強い意志を持っているニケライさんにしかできないことがあるはずだと思います。そもそも、いつからアニメやゲームにハマったのですか?

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ニケライ ハマったのは幼少期で、それからずっと好きです。アニメであれば、『新世紀エヴァンゲリオン』『コードギアス』シリーズ、『機動戦士ガンダム00』。ゲームで言えば、『戦国無双』シリーズにがっつりハマりました。それがきっかけで日本史がすごい好きになって、そもそも高校の日本史の授業もかなり面白かったので、すすんで勉強していました。昔の人の記録って、その場所や書物などに残っていることがあるじゃないですか。そういう場所を訪れたり、記したものを読んでいたりすると、同じ人間なんだなって感じる瞬間がある。逸話やエピソードを知ると、「戦国武将だけどチョーお茶目じゃん! 弟にほしい!」って思ったり。

――戦国武将を弟に!(笑)

©︎榎本麻美/文藝春秋

ニケライ (笑)。調べれば調べるほど親近感がわくんです。私は正岡子規も好きなので、台東区根岸にある「子規庵」や愛媛県にある「子規記念博物館」にも行ったのですが、たくさんエナジーをもらいました。温故知新じゃないですけど、過去の偉人から学べるものってたくさんあると思うんですよ。だから、学生時代は日本史の先生や日本の歴史博物館で働くことも考えていました。

――そこまで日本史好きだったニケライさんが、声優の道を選んだのはなぜですか?

ニケライ きっかけは、宮野真守さんです。宮野さんの存在を知って、私なりに「彼のような役者になりたい」と思いました。常に私の中の根っこの部分にあることなんですけど、日本で生まれたのには意味があるって思ってるんですね。なので、役者として日本で生きていきたいと決心しました。役者って、生きてきたものすべてが糧になるんですよね。役をいただいて取り組むとき、今まで自分が経験してきたものをいかせる。もちろん、想像力で補う部分もかなり多いんですけど、経験って絶対裏切りません。

©︎榎本麻美/文藝春秋

 (Part2へ続く

次の記事に続く 「見た目のせいで役が限られる」と言われたことも…イランにルーツを持つ声優・ニケライ ファラナーゼ(31)が「マーベル作品」の吹替で出会った“運命的な役”

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