「突然クビを言い渡されて、会社を去っていく人も…」入社後に気づいた大手外資系企業で働くことの“厳しさ”
――これまでの職場からは信じられないような働き方だったんですね。
かおり 経費はしっかり出してくれるし、オフィスもすごくきれい。優しい人ばかりで、理不尽に怒鳴る人はいない。それに、産休・育休制度も手厚くて。一般的なものに加えて、独自の制度もあるんですよ。
転職したての頃は「なんて優雅な仕事なんだろう」「ブラック企業から来た私からすると、ちょっと甘いな」なんて思っていました。
でもだんだんと、「私は本当の意味での“仕事の厳しさ”を知らなかったな」と思い知らされました。
――本当の意味での仕事の厳しさとは?
かおり それまでの私は、会社の細かいルールを守るとか、理不尽に耐えるとか、休まず働くとか、そういうことを「仕事の厳しさ」だと思っていました。
でも転職してからは、そういう厳しさはなくなったけど、常に目に見えないプレッシャーを感じるようになったんです。
営業成績を達成できなくても怒る人はいないし、仕事で何かやらかしたら、みんな優しく慰めてくれる。でも、外資系なので、突然異動を言い渡されたり、席がなくなったりすることがある。気がつかない間に、自分の居場所がなくなっているかもしれないんです。
実際に突然クビを言い渡されて、会社を去っていく人もいました。私も最初の数年は全然営業成績があがらなくて、ヒヤヒヤしましたね。
契約が取れなくて悩んだことも…それでも外資系企業が「自分に合っている」と感じる理由
――営業成績をあげないと自分もクビになるんじゃないかと。
かおり 先輩たちと同じように営業しているはずなのに、先輩たちはどんどん契約をとって、私は全然とれない。一体何が違うんだろうって頭を抱えました。
今だから分かるのですが、先輩たちは営業先で、“雑談”と見せかけて、大事なことを話していたんですよね。私は汗水垂らして必死にお願いするのが営業だと思っていたから、それに気づくのに時間がかかってしまいました。
――外資系ならではのプレッシャーに嫌気が差すことはなかったですか。
かおり 辛い時期もありましたけど、今はこの環境でよかったなと思っています。
――なぜ、良かったと思うのでしょうか?
かおり 成果を出した人が良い席に座れる。椅子取りゲームで、瞬発力がある人が勝つ。とっても分かりやすいじゃないですか。少なくとも、私には合っているな、と思っています。
撮影=三宅史郎/文藝春秋
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