「手取りは12万円ちょっと」「ギリギリの生活でした」無職生活を経て地元で就職したが…

――では、大学卒業後はどうされたのですか。

かおり 大学進学を機に上京したのですが、卒業後は地元の静岡に帰って、1か月くらいは家の中でダラダラ過ごしていました。働いてなくてお金がないから、元彼氏から食費をもらってご飯を食べに行く、という今考えるとわけわからん生活をしていました。

 でも、さすがにこのままではいけないと思って。「大企業じゃなくてもいいから就職しなきゃ」と地元の百貨店の美容部員になりました。

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――美容部員の仕事はどうでしたか。

かおり それが、契約社員ということもあって、とにかく給料が低くて。フルタイムで働いても、手取りは12万円ちょっと。当時は実家に住んでいたけど、それでもギリギリの生活でした。欲しいものはもちろん、日々の食費も切り詰めなきゃいけない。

 でも私、今も昔も我慢ができない性格なんですよ(笑)。だから、仕事が終わったあとに繁華街でナンパ待ちをして、声をかけてきた人に夕食やタクシー代を奢ってもらう生活をしていました。

 声をかけてくる人の中には、大企業に勤めている人も多くて。彼らと遊んでいると、私にも「大企業のブランドタグ」がついたような気がして、気持ちよかったんですよね。

 

「大企業」のブランドに憧れ、大企業勤務の男性と交際した時期も

――大企業のブランドタグ?

かおり 「大企業勤務」というブランドが欲しくて欲しくてしょうがないんだけど、今の自分だと手に入らないから、すでに持っている人と一緒にいることで「私も持っている」と思い込もうとしていたというか。

 今考えるとちゃんちゃらおかしいんですけど、「大企業勤務の人たちから相手にしてもらえるということは、私も同レベルってことだよね」と錯覚していたんです。

――当時は付き合う人も大企業勤務の男性が多かったそうですね。

かおり そうなんです。極端な話、顔や性格、年齢は関係ない。年収5000万円のスタートアップ経営者と、年収600万円の大企業勤務の男性だったら、後者に惹かれるくらい「大企業勤務」というブランドにこだわっていました。どちらにせよ、相手の肩書きしか見ていないから、恋愛も全然上手くいかなかったですね。

――自分が大企業に入ってその肩書きを得よう、と考えることはなかった?

かおり 就職活動で全滅しているから、どうやったらそんな会社に入社できるのか、全くイメージがわかなかったんです。