犬に顔を噛まれた傷を隠しながら、女優・小島可奈子さん(50)は父の介護に奔走していた。入退院を繰り返す父に寄り添い、着替えや通院を支え続ける日々。

 そんな中、医師から「外食は控えるように」と止められていたが、彼女は父の願いを叶える決意をする。海へ出かけ、父の好物を一緒に食べた――その2週間後、父は静かに息を引き取った。インタビュー後編では、小島さんと父の「最後の別れ」について聞いた。(全3回の3回目/最初から読む

若かりし頃の小島可奈子さんとお父様(写真:本人提供)

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傷だらけの顔で介護に奮闘

――犬に顔を噛まれたことは、お父さんに伝えたのでしょうか。

小島可奈子(以下、小島) 父は心配性なので、娘が顔に怪我をしたと知ったらショックを受けると思って黙っていました。病院では常にマスクをつけていたので、最後までバレなかったんです。

――お父さんの介護では、どんなことが大変でしたか?

小島 入院中は父が1日に何度も着替えたがるので、着るものを沢山持って行きました。「苦しいんだ。今すぐ来てくれ」と1日に何度も電話をかけてくるので対応が大変でしたね。

 最後に入院した時は、先生が「この病院で看取りましょう」と仰ったので、父には申し訳ないと思いつつ、住んでいた賃貸を解約しました。

 家を片付けると、なぜかハサミや金槌など同じものが5個ずつあったり、母や叔父の荷物もそのままだったので処分するのにヘトヘトになりました。炎天下、家財道具の整理をしたのが1番こたえたかもしれません。