「レイプの常習者である父親が殺した」(2013年、51歳女性)、「水難事故で死亡した」(2000年、51歳男性)と新証言も出てきたが…1973年に起きた、「サマージャム」参加高校生カップル失踪事件はなぜ50年経った今も「未解決」なのか? 同事件の「これまで」と「残されたナゾ」について、突然失踪した人々、迷宮入り殺人、謎だらけの不審死など、今なお真相が闇に包まれた古今東西81のコールドケースを扱った文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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溺死か? 殺害か? 史上最大のロックフェスに向かう途中に消えた2人
1973年7月28日、米ニューヨーク州スカイラー郡のワトキンズ・グレンで「サマージャム」というロックコンサートが開催された。出演したのは、当時絶大な人気を誇っていたオールマン・ブラザーズ・バンド、グレイトフル・デッド、ザ・バンドの3組のみ。
ここに、1969年開催の「ウッドストック・フェスティバル」より20万人も多い約60万人の観客が訪れ、当時のギネスブックは「世界一観客数が多かったポップフェスティヴァル」として認定する。
同州ブルックリンの男子高校生ミッチェル・ウィーザー(当時16歳)と、同じ高校に通うガールフレンドのボニー・ビクウィット(同15歳)もこのコンサートを楽しみにしていた2人だった。が、彼らは会場へ向かう途中で行方不明となり、その消息は50年以上が経過した現在もわかっていない。
ミッチェルがブルックリンの自宅を出発し、ボニーがアルバイトとして働いていた同州グリーン郡のキャッツキル山地のウェルメット・キャンプ場に到着したのはコンサート前日の7月27日。合流した2人は翌日28日朝、約200マイル(約320キロ)離れたコンサート会場に向かう。移動手段はヒッチハイク。場所はわかっていないが、途中で1台のトラックが2人を乗せ、しばらく走った後で降ろした。これが彼らが目撃された最後の姿である。
