佐野眞一、遠藤周作、横山秀夫

――影響を受けた社会派ノンフィクションや文学小説などの作品名や著者名を具体的に挙げていただけますか?

天祢 社会派ノンフィクションは、学生のころ、佐野眞一さんの作品をよく読んでいました。晩年はいろいろあって毀誉褒貶のあるかたですが、『遠い「山びこ」』『巨怪伝』『だれが「本」を殺すのか』など名作が多いです(ちなみに一緒にお酒を飲んだことが一度だけあります)。

 文学小説は、遠藤周作作品を読みあさっていた時期がありました。『沈黙』から入り、有名どころはあらかた読んだと思います。

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――天祢さんは1978年生まれですから、年齢からいうと遠藤周作さんは時代的にちょっとずれている気がします。なぜ遠藤作品に食指が伸びたのでしょうか?

天祢涼さん(撮影・木村篤史)

天祢 子どものころ、狐狸庵先生ものの『ボクは好奇心のかたまり』が我が家にあって、長らく「遠藤周作はおもしろいエッセイを書くおじさん」だと思い込んでいました。しかし母に「純文学の巨匠だ」と言われて、「代表作のようだから」くらいの気持ちで手に取ったのが『沈黙』です(中学生のときだったかな?)。それで衝撃を受けて、遠藤作品を手当たり次第読んでいました。

 純文学とは少しずれるかもしれませんが、横山秀夫さんの作品も大好きで、全著作拝読しています。「俺的横山秀夫」みたいな小説を書きたい思いはデビュー時から抱いていました。