「制服かわいいし、なんか面白そう」

――秋葉原でメイドを始めてから20年たつそうですね。

リエ 一時期メイドから離れたことがあったんですが、2005年に始めたので20年たちました。

――2005年というとメイドカフェブームがちょうど始まった頃ですね。メイドカフェで働こうというきっかけは何だったんですか?

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リエ 実はうちの父があっとほぉーむカフェの創業者と知り合いだったんです。それで「今、新しいメイドを募集しているんですが、よかったらどうですか」とお声をかけていただいて、当時学生だったんですけど、メイドとして働くことになりました。

©︎平松市聖/文藝春秋

――なるほど。今日のリエさんのファッションなどを見ると、正直オタク趣味がありそうな感じには見えないので、どうしてメイドになったのか不思議に思っていました。

リエ やっぱりそう見えますか。アニメやゲームなどの趣味は全然ないんです(笑)。メタルコア、ハードコアであったり、海外の激しめの音楽の方に興味があって。マイ・ケミカル・ロマンスとかマリア・ブリンクとかそっち系から始まり、もうちょっとコアなインディーズの海外バンドも聴いてました。

 ただ好奇心はあるタイプで、せっかくやるなら楽しいことやりたいなと思って。元々バイトを探していたので「制服かわいいし、なんか面白そう」みたいな軽い気持ちでメイドとして働き始めました。

メイドカフェに入るまでは「大丈夫かな、やっていけるのかな」

――2005年あたりだと、まだ今のようにメイドカフェのイメージが認知されていない時期ですが、リエさんは入るまではどういうイメージを持っていましたか。

リエ 本当に言い方は悪いですけれど、オタクの世界というイメージでした。なので「大丈夫かな、やっていけるのかな」という不安はすごくありましたね。でも全く関わりがなかったからこそ好奇心もあって。まさか20年後もメイドをしているとは思いませんでした(笑)。

©︎平松市聖/文藝春秋

――現在あっとほぉーむカフェの運営会社のCBOでもある、メイドのhitomiさんは自伝の中で当時はギャルだったので浮いていたと語っているのですが、メイド全員がいわゆる萌え系ではなかったんでしょうか。

リエ 当時のメイドはインドアでアニメが好きな子が多かったんですけど、その一部にギャル枠があったんですよ。私があっとほぉーむカフェにいられたのは、ひとみん(hitomiさん)の影響が本当に大きくて。ひとみんを見て「あっ、こういう人もメイドにいるんだ。私でもメイドをやれるんじゃ……」と思えたんです。