東京・秋葉原にある老舗メイドカフェ「あっとほぉーむカフェ」。その店で2005年からメイドとして働き、一時離れたものの約20年、現在もメイドとしてご主人様、お嬢様をお出迎えしているのがメイドのリエさんだ。00年代メイドカフェブームだった秋葉原の空気感、一度は辞めたメイドに再び戻ってきた理由などを聞いた。(全3回の2回目/続きを読む

リエさん ©︎平松市聖/文藝春秋

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AKB48が人気、「電車男」がドラマ化され注目が集まった秋葉原

――2005年頃から秋葉原はオタクカルチャーの中心地として注目を浴びますが、あっとほぉーむカフェがある秋葉原のドン・キホーテにはAKB48の劇場も入っています。

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リエさん(以下、リエ) そうなんです。AKB48が人気になると、「あっとほぉーむカフェにもついでに行こうかな」という方もすごく増えました。ほかにも「電車男」がドラマになったり、秋葉原に注目が集まっている印象でした。

――2008年には秋葉原通り魔事件がありました。

リエ 私自身は事件当日は出勤はしていなかったんですが、家族や親戚にはすごく心配されました。メイドもショックを受けてましたね。

 あの事件の直後は雰囲気が変わりました。歩行者天国がなくなって、今までみたいな賑やかな週末ではなくなって。自粛ムードというか、ちょっと暗くなっちゃったかなっていうのはありましたね。でも一定の時期を過ぎて、ホコテンも復活してから旅行者の方も来るようになって、すぐに賑わいを取り戻したイメージです。

©︎平松市聖/文藝春秋

秋葉原を愛しすぎたら苦しくなっちゃうかも

――秋葉原はオタクカルチャーの中心地のように言われていましたが、リエさん自身はそちらの分野に興味ないんですよね。例えばアニメイトに行ったことは?

リエ 1回もないです(笑)。本当に駅とあっとほぉーむカフェの往復だけなんです。もうスッと来てスッと帰るっていう。

 逆にそれがメイドを長く続けられた理由なのかなっていう気持ちはあります。なんかすごく思い入れや、こだわりがあったり、愛しすぎたら苦しくなっちゃう瞬間もあるんじゃないかなって思うんです。

――どういうことですか?