子どもたちにとって、希望を感じるわずかな瞬間があるとすれば、それは、今日食べるものがあったこと、少しずつでも勉強できるようになること、そして世界の人々が自分たちの状況を理解し、思いを寄せ続けてくれることだ。

「インターネットで繋がれる子どもたちは、ガザの外でガザのことを考えてくれる人たちがいると知ることがわずかながら生きる励みになっています。自分たちが世界から取り残されていると感じる中で、自分たちの存在を認めてくれる人がいる。それが希望になっているそうです」

戦禍の中でも、少女たちは仮設の学習スペースで授業を続けている。ガザではもともと教育へのアクセスにおいては男女で大きな差はない(写真=鈴木氏提供)

 20歳になるルルさん(仮名)は、「ガザで暮らすことは多くの障害に立ち向かうことを意味します。それでも私は、自分の成長と学びを諦めず、『知識こそが新しい可能性を開く鍵』だと信じて努力を続けています」と語る。大学の多くが破壊された今もオンライン学習に力を注ぎ、「将来的にはテクノロジー分野のスキルを磨き、ガザの復興と発展に貢献し、他の女の子たちが情熱を追求できるように励ましたい」と、未来への意志を見せている。

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学習スペースの壊れた壁をナイロンシートで応急措置し、工夫を凝らして学習を再開している(写真=鈴木氏提供)

「ガザで本当に起きていることをどうか伝えて」

 6月には、マハさんからこんなメッセージが届いたという。

「私たちの声を世界に届けてください。ガザで本当に起きていることをどうか伝えてください。私たちの声は正しく世界に届かないかもしれない。この戦争での唯一の幸運はあなたと知り合えたことです。この飢餓、病気、すべての物資が不足している中で生きる私たちは、世界が私たちの声を聴くことを、本当に望んでいます」

教科書やノートを大事そうに抱える(写真=鈴木氏提供)

たしかに生きている子どもたちがいる

 停戦合意後も局地的な空爆は毎日続いている。現地の人々は「『あくまで休憩期間』と決してならないでほしい」と祈っている。

「ガザの子どもたちは、瓦礫の中でも全力で遊んでいます。音楽をかけてみんなでダンスをしたり、絵を描いて辛いことをシェアしたりすることも。空爆の中でも、赤ちゃんはちゃんとお母さんのおっぱいを飲んでいる。もちろんお母さんが栄養失調で母乳が出ない場合は、粉ミルクも不足しているため、水かお茶を与えざるを得ません。栄養や免疫力の低下につながる深刻な状態です。

 しかし、それでもガザの人々の生命力、たしかに生きている子どもたちがいるのだということを、少しでも知ってほしいです。私たちは、一人でも多くの命を守りたいです」(鈴木氏)

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