「本当に貧乏神に取り憑かれたみたい」相次いでリストラされた
このときの再就職はスンナリだった。人材紹介会社経由で2か月もしないで運送会社に採用され、リスタートすることができた。
仕切り直しで仕事に励んでいたが、20年の年初に新型コロナが発生。またも雲行きが怪しくなる。経済活動が停滞すればあらゆる物が動かなくなる。会社の売上や利益が急激に悪化、大幅なリストラが実施されたのだ。
「当時は29歳で独身、実家暮らしだったから中高年の妻帯者より身軽ということで、退職してくれないかというわけです。業績が回復したら呼び戻すと言っていたけど」
21年の年末でこの会社を辞めたあとは地域型の食品・雑貨スーパーに再々就職したが、もう国立大学卒の看板は通用しなかった。本部の事務管理部門ではなく店舗要員で、下町の店舗に配属されて品出し、総菜作り、レジ打ちなどをやっていた。
ところがここも勤めて2年後の23年暮れに閉店することになる。早川さんは他の店舗に配置替えになると思っていたが、会社から言われたのは解雇。どこも人は足りているので異動できるところはないということだった。
「どこの会社も自分から辞めたとか、不祥事を起こして首を切られたわけではないんです。ついていないというか、本当に貧乏神に取り憑かれたみたいですね」
3社目を退職したあとは、当然のように派遣などの非正規労働に流れていくことになる。
「人材紹介会社やハローワークにも通ったけど、事情はどうであれ短期間に転職を繰り返すのは印象が悪いんです。世の中ってそういうもんです」