「馬鹿なことしたもんだよ」。ある風俗ドライバーが、店の女の子を休みの日にホテルに連れ込み、支払いを踏み倒したことが発覚。普段はムードメーカーだった彼も、店の裏ルールの前では無力だった――「やってはいけない一線」を超えたドライバーたちの末路とは? 風俗ドライバー経験のある御厨謙氏の新刊『キャバクラ店員へとへと裏日記』(鉄人社)より一部を抜粋して紹介する。(全3回の1回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

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店の女の子に手を出したドライバー

 僕が働いていた店のドライバー仲間は年齢も近く、けっこうみんな年齢を重ねていました(年齢などはあらたまって聞かないので、実際の年齢は不明です)。普段はおたがい別々のところを走っているのですが、暇な時は携帯で連絡を取り合い現場のホテル街などで待ち合わせることもよくありました。

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 そして待機時間中はおたがいの車を路上に並べて仮眠をとったり、仲間と缶コーヒーを飲んだりしながらだべっていました。話題は、やれ乗せたデリヘル嬢がどうのこうの、やれどこのデリヘルがどうのこうのと、もっぱらお店や界隈のデリヘル業者の噂話などが中心でした。お互い情報交換の場になっていたのです。

 ある時リーダー格の山さんを見かけなくなりました。ドライバーの常であまりお金もなく、休むようなタイプでもないので不思議に思い、「山さん見かけないですけれど、辞めたんですか」と仲間に尋ねると、「お前、知らなかったのか。山、もえみ(この店のデリヘル嬢)を休みの日にホテルに連れ込んでいたのが店長にばれて、ボコボコにされて、百万円支払って首になったよ」といわれました。

写真はイメージ ©getty

 何やらもえみの稼ぎより多めに支払って、ホテルに行っていたみたいなのですが、ある時手持ちがなくて彼女に金を渡さなかったみたいで、激怒したもえみが店長に密告したそうです。僕はその話を聞いて正直、呆れて物が言えませんでした。