結論からいえば、マリオとの差別化はきちんとできているが、コミュニティとしての違いをうまくアピールできていないと考えられる。

レースよりもアクション寄り、激しくカオスなゲーム

『カービィのエアライダー』は、「星のカービィ」シリーズに登場するキャラクターたちがレースなどをするゲームである。

『カービィのエアライダー』 画像は任天堂公式サイトより

「エアライドマシン」と呼ばれるさまざまな乗り物に乗って1位を目指すといった内容で、通常の「レース」、見下ろし視点の「ウエライド」といったモードが存在する。

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 一番大きな特徴は、相手への妨害でスピードが上がる部分だろう。もちろん「マリオカート」にも妨害アイテムはあるのだが、本作はそれ以上にバチバチやり合う印象だ。

 能力でほかのプレイヤーを攻撃すると速度が上がるのはもちろん、コース上にいる雑魚敵を倒してもスピードが上がる。かなりアクションに寄っており、ゆえに本作はレースゲームではなく「ライドアクションゲーム」という表記になっている。

『カービィのエアライダー』 画像は任天堂公式サイトより

 そして、レースよりも「シティトライアル」というモードのほうがメインといえる。これはフィールドを時間いっぱい走り、集めたアイテムでマシンを強化したあと、最終競技で競うといった内容だ。

 最終競技は何が出るかわからないうえ、強化した結果に応じて得手不得手が変化する。パーティーゲームに寄せているわけだが、同時にプレイヤーの腕前も問われるわけだ。

 スピードを感じさせるエフェクトや効果音もしっかりしているし、そもそもゲーム全体においてテンポがよく待たされている感覚もない。キャラごとのスペシャル技も思わず笑ってしまうようなものが揃っている。

 より激しくスピーディーで、アクションゲーム寄り。そういう意味で『マリオカート ワールド』とは確かに違うゲームだといえるだろう。むしろ、アイテムあり多人数戦の「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズに近いといえるかもしれない。

 しかし、記事執筆時点でレビュー集積サイト「Metacritic」のスコア(平均点)は80点とひかえめな評価に落ち着いた。『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が93点だったことを考慮すれば、物足りない結果といえるだろう。

 ファミ通.comによると、日本でのパッケージ版の初週売り上げは約19.5万本である。『ドンキーコング バナンザ』よりは売れているが、『Pokémon LEGENDS Z-A』とは数倍の差があり、ヒットの部類ではあるが大ヒットとまではいかなさそうだ。また、カービィは日本での人気が高く、イギリスの週間ソフト販売チャートでは初週12位と、かなり控えめなスタートになっていた。

『カービィのエアライダー』は人気あるゲームなのは間違いない。同時に、期待を大きく越えてくるような数字でもなかったといえる。なぜだろうか? これはおそらく、「パーティーゲームを遊ぶためのコミュニティによる問題」だと考えられる。