遊ぶ場所、コミュニティがまだ育ちきっていない

「パーティー」という言葉には複数の意味がある。複数の人が集まって楽しむためのイベント、あるいは目的や利益のために共同して行動する人々の集団、といったところだろうか。

『カービィのエアライダー』 画像は任天堂公式サイトより

 パーティーゲームはまさしく、なんらかのイベントがあるか、あるいは同じ目的を持った集団がいてこそ輝く。そういった場、コミュニティがなければ、パーティーゲームの意味は薄れてしまう。

 さて、『カービィのエアライダー』はどういう集団・場所のためにあるのだろうか? それはやはり、Nintendo Switch 2ユーザーというコミュニティになるだろう。

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 だからこそ桜井氏は『マリオカート ワールド』をライバルかのように表現したわけだ。『マリオカート ワールド』と差別化できれば、Nintendo Switch 2コミュニティにおいて『カービィのエアライダー』は有力なソフトになるからだ。

 そもそも、ゲーム機はコミュニティの象徴になるケースもある。もちろん複数のゲーム機を持つ人もいるので完全に一致するわけではないが、その昔ソニー派とセガ派がいたように、ある程度は帰属するものになりうる(それを本気でアイデンティティにされるのはとても困るのだが)。

Nintendo Switch 2は売れているが、まだこれから伸びていくゲーム機だ。画像は任天堂公式サイトより

 Nintendo Switch 2は発売されてからまだ日が浅い。時期を考えればかなり売れているゲーム機ではあるが、全世界でおよそ1000万台、日本国内では235万台ほどといった規模である。Nintendo Switchの全世界1億5401万台に比べると、まだコミュニティ自体が小さいといえる。

 ましてやMetacriticで収集されているようなメディアの先行レビューはオンライン対戦のみ(かつ業務上の範囲で)プレイしているわけで、仲のいい家族や友人と笑いあいながら遊べるような環境ではないほうが多いのだろう。

 逆に、すでに環境を持っているであろうユーザーからは高い評価ばかり聞く。ユーザーレビューではかなりの高評価といえるし、SNSでも好意的な意見をよく見かける。

 ゆえに、『カービィのエアライダー』はまだ本気を出せていないゲームといえる。