そもそもコミュニティが多様化している現代
ただし、話はそれだけでは終わらない。ユーザーの否定的な意見のなかには「続編というよりリメイクだ」といったものがあったり、一部のメディアレビューでは「前作の再現である」といった表現が見られた。
確かにレース、ウエライド、シティトライアルといったメインモードは同じではある。追加されたひとりプレイ用モードがおもしろくないという意見もよくわかる。
ただ、筆者はこの遊び自体が古いのではなく、パーティーゲーム、つまりコミュニケーションとなるゲームを取り巻く現在の環境が変化したのではないかと考えている。
今も昔もみんなで遊ぶゲームは人気だ。それこそ前作『カービィのエアライド』が発売されたゲームキューブの時代も同じなわけだが、インターネットが普及してから状況は一変している。
コミュニケーションを楽しみながら遊ぶゲームの例をいくつか挙げてみよう。たとえば無限かと思うほどのゲームがある『ロブロックス』、あるいはバトロワのみならずさまざまな遊びが生み出され続けている『フォートナイト』、もしくはブロックを積み上げる『マインクラフト』などなど、コミュニティとしてのゲーム(あるいはメタバース)があるわけだ。
これらの特徴は、「ゲームタイトルがあってそこに付随するコミュニティがある」のではなく、「ゲームタイトルそのものがひとつのコミュニティになっている」ところである。こういった作品はユーザー生成コンテンツも取り込んでおり、遊びの幅が非常に広い。突飛なアイデアもそのゲームの一部になっている。
一方、『カービィのエアライダー』は昔ながらの買い切り型パーティーゲームといった印象が強い。いや、このゲームでも「オレマシン」といったマシンのカスタマイズ要素があり、これもユーザー生成コンテンツといえる。
ただ、作中キャラ「コックカワサキ」にマイクロビキニを着せたようなデザインはすぐ削除されてしまっている。規約違反ならば致し方ないが、ユーザー生成コンテンツを楽しむ場においては、正直カオスなほうがウケがよい。


