「一番忘れられない作品」
これまでの中山のドラマでは幸せな恋人たちの象徴だったクリスマスを惨劇の舞台としたり、仲村とのこれまでの関係を反転させたキャスティングなどの仕掛けも興味深く、中山美穂の代表作として映画『Love Letter』とともに本作を挙げるファンも多い。
中山自身も「一番忘れられない作品」として本作を挙げており、「映画みたいにすごくこだわった丁寧な撮り方をしていた」と振り返っていた(『TOKIOカケル』2018年10月10日)。
『二千年の恋』(フジテレビ系)は2000年1月スタートの月9ドラマ。共演は金城武、宮沢和史、Fayrayなど。キャリアが浅い俳優陣を大黒柱として中山が支える構図は90年代から変わらない。2000年代最初の月9らしく、壮大で気合の入った作品だった。藤本有紀、大森美香、浅野妙子、尾崎将也の各氏と、後に朝ドラを手がける脚本家が4人も参加している。
ストーリーはシステムエンジニアの主人公(中山)が、テロ支援国家からやってきたスパイ(金城)と出会い、心惹かれていくというもの。役柄がSEなのは「2000年問題」があったから。ネットワークのつながりと人の心のつながりが引っかけてある。
家族に恵まれず孤独な生活に耐えている女性という設定は「哀しみを湛えたしっとり系」を得意とする中山らしい役柄だが、文字通り命がけの恋愛に身を投じる中で自分の生きる道を見出していく。ストーリー展開は激しかったが、30歳を迎える中山の演技は不思議なほど静かだった。
『Love Story』(TBS系)は2001年4月スタート。共演は『Love Letter』の豊川悦司、脚本は中山の作品は初めてとなる北川悦吏子氏が担当した。
久々の純然たるラブストーリーで、中山は契約社員の編集者、豊川はスランプに陥っている気難しい恋愛小説家を演じる。都会で働くしっかり者という役柄は中山らしい。原稿をもらおうとして本音をズバズバ言っているうちに、いつの間にか相手の心の中に棲み着いてしまうという展開。クールな豊川が、どんどん取り乱していく様子が面白い。
