「やりたいこと」と「やり残したこと」を天秤にかけて

――しばらく耐えれば楽になる、みたいなのは見えてこないんですか?

斉藤 先の目標ができたら、テレビ局に居続けられたと思うんですよ。ただ僕はそれが持てなかったから辞めた、という結論になります。

――やり残した感はない?

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斉藤 正直ありますね。総合演出っていう立場で番組をやってみたかったなっていうのは心残りと言えます。YouTubeチャンネルの相方である西江(健司)はTBSの同期なんですけど、1本総合演出で特番の番組をやってるんですよ。ただ、僕はやり残したことと、やりたいことを天秤にかけたら「やり残したことはいいや!」と思えた。

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――天秤にかけた「やりたいこと」が、YouTubeチャンネル?

斉藤 というより起業ですね。僕は「テレビ局にずっといよう」とは思っていなくて「自分で起業をしてみたい」っていう思いがあった。それを煽ってくれたというか「やろう」っていう気持ちにさせてくれたのが、TBS・バラエティで同期の西江でした。

 YouTubeは、TBSにいながら始めていました。でも今、西江とやっているYouTubeチャンネルの企画、ああいう実在の事件やちょっとダークでショッキングな話題に関してはまだやっていなくて、TBSでボツになった企画を、実験的に2人が出演するYouTubeチャンネルで投稿していました。

ネット深層部で密かに販売されている「危険な謎の箱」をオープン

――事件もののコンテンツになっていったきっかけは?

斉藤 今一番古い動画としてチャンネルに上がっている、ダークウェブのミステリーボックスの動画がきっかけでしたね。インターネットの深層部で販売されている「中身が分からない、危険で謎の箱」を開けていくという企画です。いろんな人に見てもらえたんで、それをきっかけにジャンルを絞った路線に変わりました。

――第1回目の動画だけ、わちゃわちゃといろんな人がたくさん出てましたね。

斉藤 当時シェアハウスに住んでいたメンバーです。僕は部屋というか、押入れに住んでましたけど(笑)。シェアハウスを企画してくれたのも西江で「一緒に入居しよう」って誘ってくれて。TBSにいた頃からシェアハウス生活に入って、途中入れ替わりとかもありつつ7~8人くらいが一緒に住んでいました。

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 そのなかに自分で起業したりフリーランスでやっていたりするメンバーというのが、結構いたんです。人間って「周り5人の平均値が自分」とかっていう「環境に影響される生き物」だっていいますけど、それが確実に現れていました。もうシェアハウスに入っていた会社員が、軒並み会社を辞めるんですよ(笑)。