事件モノというコンテンツの難しさ

――お2人でやっているチャンネルで気になっていたのが、YouTubeで事件モノをやるうえでの「事件の内容」と「エンタメ要素」のバランスです。未解決事件で被害者家族もいる、という事件も扱っている。そのバランス感覚は、どうやって掴んできたのかなと。

斉藤 そうですね。僕たち自身としては、決して命の価値を貶めたいと思ってやっているわけじゃない。ただ、そう思われる可能性があるっていう意味で、すごく危険だとは思っています。

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 意見的なコンテンツを表明するってことは、誰ひとり傷つけないことは難しい。それに、傷つけないからOKってわけでもない。そこは最大限、動画の内容をすごく配慮しながら作っていますね。

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 YouTubeって、ブロックしないと否応なしにインプレッションでパッと表示されるテロみたいな面もある。だから「ちょっとこれはあまりにも個人を傷つける可能性がある」とか、デリケートすぎる・ショッキングすぎるっていう内容は、オンラインサロンという閉ざされた場の方で投稿する形で、配慮しようという意図はあります。

――そういうバランスが難しいコンテンツを続けられるというのは、テレビマンとしての経験が強みになってるんでしょうか。

斉藤 そうですね。演出っていう意味でも強いですし、コンプラ意識みたいなところもかなり強いと思います。テレビって今もそのケは強いですけど、子どもから大人まで、全部の層にわかるようなコンテンツにしなきゃいけないっていう力学が働いているので。

 正直、僕ら自身、僕らのYouTubeチャンネルを子どもに見せることはできないと思っているんですけど、それでもわかりやすい・伝わりやすいような見せ方をしようとは思っています。

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写真=三宅史郎 /文藝春秋

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 TBS局員という華々しい肩書を手放し、友人と2人、登録者数132万人のYouTuberとして人気を博すようになった斉藤さん。続く第3回は、さらに新たにスタートさせた個人チャンネルのこと、故郷の名産に立ち返って踏み出した「お茶とビジネス」のことなど、斉藤さんの今、そしてこれからについてうかがいます。〈つづく

次の記事に続く 東大卒・元テレビマンYouTuber斉藤正直(32)、娘の誕生で変化した価値観と「日本茶×悩み相談」への新たなる挑戦

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