ストレスで「炊飯器から手づかみ」してご飯を食べたことも

――ボディビルダーは大会前になると、身体を仕上げるために体脂肪を落として過酷な減量に取り組むとされています。すぐに適応できましたか?

みさみさ 大会に初出場するまでは、初心者らしい失敗をたくさんしました。コーチもいないまま自己流で減量をして、夜中にバッと起きて炊飯器から手づかみでご飯を食べる「キレ食い」を繰り返したり、1日2回のトレーニングをしながら、サプリだけを飲んで2週間も絶食状態で生活したり。

 最終的に感覚がおかしくなり、食欲も湧かなくなっちゃったんです。ガリガリになるだけで筋肉もつきませんでしたし、コンテスト後は反動で食欲が爆発して1カ月で15キロもリバウンドしました。

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ボディビルの世界に入りたての頃は、減量で苦労したこともあった(撮影協力:メトロフレックスジム 埼玉店) ©佐藤亘/文藝春秋

――大会の結果はどうだったのですか?

みさみさ 当然ながら負けました。でも、そこで味わった悔しさが自分に火をつけました。ガムシャラにやるだけではダメだと思ってコーチと契約し、食事やコンディション管理、ポージングの細部まで見直して、正しいやり方で、自分を徹底的に追い込むようになりました。

2022年、プロ資格を得た「OLYMPIA AMATEUR JAPAN」での1枚(写真提供=本人)

アメリカで味わった衝撃と、得た自信

――2022年に日本国内の大会で優勝を果たし、世界最大のボディビル連盟の公認プロ資格「IFBB PRO CARD」を獲得されました。以降、世界へと活躍の幅を広げていますね。

米国のコンテストで戦った際の1枚(写真提供=本人)

みさみさ 国内のジムだと「すごいね!」とよく言われて自信もあったのですが、アメリカではジムに行けば性別に関係なく、自分より筋肉が大きい人が普通にいることに驚きました。

 私のクラスである「フィギュア」はバランスやフェミニンさも評価ポイントなので、ただ体が大きいだけではダメなんです。とはいえ海外のコンテストに挑み始めたころは、周りのサイズ感に気圧されました。でも上位入賞できてからは、どんなに大きい選手を見ても自信を失くすことはなくなりました。