市街地からみかん畑の中へ
最初はしばらく紀勢本線に沿って北に進む。200mほど歩くと、紀勢本線は高架になって西へと分かれ、ポッポみちは町の中に入ってゆく。
すぐ脇には民家が建ち並んでいるが、表玄関は反対側。このあたり、いかにも廃線跡らしい風景といっていい。
町中で阪和自動車道の高架をくぐると、右にゆったりカーブを描く。このあたりからは少しずつ田園地帯に入ってゆく。田園地帯と言いつつも田んぼなどはほとんどなく、有田でのそれは一面のみかん畑だ。
プラットホームの跡地を発見
たわわに実るみかんを眺めながらさらに歩くと、カーブの終わりかけのところに駅の跡が待っていた。
サイクリングロードに生まれ変わって、レールもまくら木もなくなっているのだが、駅のプラットホームだけはそのままに残っている。有田鉄道線で最初の途中駅、田殿口駅の跡である。
ただし、ホームの上にはあずま屋のような休憩スペースが用意されていて、駅として現役だった時代をしのぶのはちょっと難しい。末期には、ホーム1面と線路1線だけの簡素な駅だったという。
そんな田殿口駅の脇にあるのは、JAわかやま吉備支店。つまり農協だ。有田の農協ならば、いちばんの取り扱いはみかんに決まっている。実際、田殿口駅はみかん輸送の一大拠点として賑わっていた駅だ。
多くの側線を持ち、貨車が行き交い、農協の倉庫からみかんを積み込んで藤並方面へ。温州みかんの一大ブランド・有田みかんはこうして田殿口駅から全国へと送られていった。
そもそも有田鉄道線自体も、みかんの輸送を目的として開業した路線だ。





