いよいよ終点の金屋口駅へ

 そして藤並駅から5.6km、終点の金屋口駅に着く。

金屋口駅跡

 金屋口駅の跡は、車庫を含めた広い構内のほとんどが有田川鉄道公園として整備されている。蒸気機関車のD51やかつて有田鉄道線を走っていた車両などを展示。中には現在も走行可能な車両もあって、体験乗車会なども行われているという。

 
 

 その鉄道公園のいちばん奥まった東側に、金屋口駅のホームと駅舎が残っていた。

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 金屋口駅のすぐ脇には有田鉄道の本社がある。鉄道は消えてもバスの運行を続ける有田鉄道。さらにその周囲には、旧金屋町の市街地が広がる。

 1960年代、年間100万人のお客と2万トンのみかんを運んでいたその昔、たいそうな賑わいだったに違いない。駅前の閉ざされた中華料理店が、儚さを感じさせる。

 

 そうした中に、昭和の昔の姿を留めて残る金屋口駅の駅舎とホーム。ここばかりは、アートに彩られたりはしていない。

 いま、全国で有田のおいしいみかんを食べられるのは、有田鉄道が運んだところからはじまったのだ——。

 みかん畑の真ん中の小さな町中で、23年前に廃止された駅舎はそんなことをひっそりと訴えているのかもしれない。

撮影=鼠入昌史

次の記事に続く 世界初「3Dプリンター駅舎」が和歌山に出現…見た目によらず“意外と頑丈”なその理由とは?

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