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3Dプリンター駅のデメリット
そのひとつが、巨大な重量物である部材の輸送と組み立てには、相応のスペースと輸送技術が必要になる点だ。
「輸送車両なども大型になるので、路地のような細い道には入れませんし、駅前広場にも一定のスペースが必要になります。
現時点では3Dプリンターの駅舎は地方の小さな無人駅を想定していると思いますが、そうなると案外駅前までの道が細かったりして……」
また、コンクリートの塊の輸送も簡単ではない。なんでも、輸送中の部材にかかる力は阪神・淡路大震災の2倍だとか。わずかな衝撃でも部材の損傷リスクがあり、それは建物の安全性をも損なうことになるのだ。
「梱包資材などを充実させれば輸送の安全性は高まるのですが、それではコスト高になってしまって意味がない。
なので、いかに通常の輸送方法で、なおかつ壊れないように運ぶか。3Dプリンターでの建築が普及するためには、そこにも力を入れて研究を進めていかなければと思っています」
というわけで、まるで良いことずくめの3Dプリンター駅舎だが、どこもかしこもというわけにはいかないようだ。
では、メリットとデメリットが相克するなかで、「世界初」の3Dプリンター駅舎導入に踏み切ったのはなぜなのか。再びJR西日本の益枝さんに聞いた。


