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なぜ地方の無人駅で実現したのか
「そもそものきっかけは、グループ会社のJR西日本イノベーションズがセレンディクスさんと資本業務提携をしたことです。
そこから当社の建築物にセレンディクスさんの3Dプリンター建設技術を適用できるのでは、と2024年頃から検討をはじめました」
導入の決め手になったのは、メンテナンスフリーであることやコスト面、また意匠面での自由度の高さだ。
ちなみに、“世界初”が初島駅になったのは偶然だった。
初島駅に限らず、地方の小駅では国鉄時代からの木造駅舎がまだまだ残っている。ただ、国鉄時代と比べて利用者が減って設備が過大になっているし、老朽化も進む。
そこで、順次建て替えを進めており、たまたま初島駅のタイミングと条件が合致した、というわけだ。
「駅舎のリニューアルにあたっては、基本的にはRC造と呼ばれる鉄筋コンクリートでコンパクトなものに。また、3Dプリンターと同じ工法という点ではアルミユニットの駅舎も採用しています。
ただ、それではどうしても画一的なデザインとなりやすい。駅舎は地域の顔ですし、長く地元の方に使っていただくもの。
なので、少しでも地域性を取り入れたものにできれば、と思っています。そこで3Dプリンターもひとつの方法になるのでは、と」
こうして生まれた世界初の3Dプリンター駅・初島。供用を開始したのは2025年7月だ。それから数カ月、益枝さんによれば大きな問題は生じていないという。

