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そばに近づいて見てみると…
初島駅の駅舎は、ホームと跨線橋で繋がる東側に置かれている。ただし、駅舎といってもそこは小さな無人駅。四方を壁に囲われた建物ではなく、簡易IC改札機と券売機があるだけの通路のような構造だ。
よりわかりやすく言えば、改札機などを雨から守る囲い、といったほうが正しいかもしれない。
それでも、駅舎といえば立派な町の玄関口だ。遠目には白いモルタル造りの駅舎。ただ、近づけばひと目で普通の駅とは違うとわかる。
コンクリートが縦に幾層にも重なっていて、壁に触ればザラついた触感。
屋根は独特なカーブを描き、壁に刻まれているのは魚やみかんだろうか。みかん畑と海の間に挟まれた、初島という駅の特徴を表している。
そしてもちろん当たり前だが、押しても引いてもビクともしない。人がちょっと押したくらいで傾いだりするワケがない。
ワケがないが、一般的な方法で建てられた駅舎と違って3Dプリンター。そんなものはいまだかつて見たことがない。だから、どれだけ頑丈なのか、も気になってしまうのだ……。
「3Dプリンターというと、樹脂でプリントするものはだいぶ浸透してきていると思います。ですが、建設用のプリンターはそれとは中身が違います。コンクリートを層にして出力していくわけですし、まだまだ技術の発展の余地もあります」
と、教えてくれたのは初島駅で3Dプリンターによる駅舎建設を請け負ったベンチャー企業・セレンディクスCOOの飯田國大さん。




