「富豪が住み豪邸が並ぶ関西屈指の住宅街」というイメージがある芦屋。しかし、実際のところ、どんな街なのかをよく知らない人は多いのではないだろうか。芦屋に住んできた人々、芦屋に住んでいる人々はいったいどんな生活を送り、どのようなことを考えているのか。

 ここでは、芦屋の真実に迫ったフリーライター・加藤慶氏の著書『誰も知らない「芦屋」の真実 最高級邸宅街にはどんな人が住んでいるか』(講談社)より一部を抜粋して、芦屋に住むセレブたちの素顔を紹介する。(全4回の4回目/3回目からつづく)

写真はイメージ ©milatas/イメージマート

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「500万円クラスの時計を年に数個購入している」芦屋セレブの上位クラスの“品位”

 輸入車に乗って、有名ブランドバッグを持つ──セレブを自任するほぼ全員がこのスタイルだが、「一度買ってしまえば維持費は安いもの。バッグだってそう。年に1~2個買えばいいから」と言う。

 では、何がセレブの品位を高めるのか。彼女が続ける。

「つけてる時計を見たらすぐにおカネがあるか、ないかがわかる。時計はピンキリで、新調できる人はごくわずか。お金を持ってそうで、そこまで持っていない人もいる。サラリーマンの主婦よりは持っていると思うけど、奥さんにまで無制限におカネを使わせる旦那はごくわずか。限定の時計を毎年、何個も買って身につけている人はすごいお金持ちやね。奥さんにそこまでする旦那は少ないやろうし、数百万円の時計を1個買ったら当分何も買ってくれへんよ」

 ファッションチェック、持ち物チェックをする女性の目は鋭い。500万円クラスの時計を年に数個購入しているなど、女性は見ていないふりして、きちんと見ているのだ。数百万円の時計を2つ持っていても、新調していかなければ、芦屋セレブの上位クラスとは認められないらしい……。

セレブの大半は成り上がり

「だいたい旦那の職業だってあやふや。中には結婚する前に旦那が詐欺で逮捕されていたという人もおるし、自由なおカネがある家庭は中小企業の社長が多いイメージですね。そりゃ、本当のセレブもいますけど、大半が成り上がり。女性医師や女性弁護士で昼間からワイン飲んでランチしている人なんておらんし、セレブはその程度なんです(笑)」

 ひたすら手厳しい発言をするが、彼女自身も実はセレブを演じているだけ。自己顕示欲を満たすためだとこう解説する。

「子供が私学に行き出したら、おカネもかかるし、送り迎えもしなくちゃならない。そうしたらこんな生活もできなくなると思うわ。今だけの楽しみかな」

 先述したとおり、芦屋にはいくつかのセレブグループがある。掛け持ちをしている人もいるが、主要メンバーはいい顔をしない。そこで顔を潰さないように別のグループとの交流ではインスタにアップしないなど、各々が暗黙で配慮している。

 妬み、嫉み、僻みほど怖いものはない。

 芦屋セレブの舞台裏は実に過激で、文章にできないものばかりだった……。